大手EPCはなぜファーウェイを選ぶのか
太陽光発電所の建設を行う住宅大手の大和ハウス工業は、早くからファーウェイ製のPCSを採用してきたという。なぜか。ファーウェイの楊联副総裁が大和ハウス工業環境エネルギー事業部の栄彰一事業部長に聞いた。
栄氏●貴社のPCS(パワーコンディショナ)を導入し始めた2014年頃、日本では分散設置用の中型PCSは普及していませんでした。当時は、大規模なメガソーラーになると、大型PCSを選ぶのが常識という風潮だったからです。
しかし当社は、EPC(設計・調達・建設)として他社との差別化を図る必要があったので、総合的に判断したうえで貴社のPCSを採用したのです。発電事業者の目線に立つと、やはり工期を短縮できるという施工上のメリットは大きいので、すぐに理解が浸透しました。
私たちは、他社の製品も提案しますが、いまでは事業者の多くが最終的に貴社を選んでいます。弊社の産業用の案件では過半数がファーウェイのPCSです。
楊氏●貴社は、日本の事業者の要求を当社にストレートに届けてくださるので、我々はスピード感を持って対応できるのです。例えば、PCSに不具合が生じた場合は、エンジニアを派遣するのではなく、2営業日以内に新品のPCSをお送りしています。事業者は故障品と新品を取り換えれば、すぐに復旧できるのですが、こうした迅速な復旧体制を築くことができているのも、貴社のおかげだと感謝しています。
栄氏●日本では特にスピード対応を重視される事業者が多いのです。個人事業主のなかには、貴社の迅速な対応を評価してリピータになっていただいている方もいらっしゃいます。
以前、我々は事業提案書を日本人向けに分かりやすい資料にして欲しいと、厳しい要求をさせていただきましたが、貴社はすぐに内容を改めてくださいました。分かりやすい資料には説得力があります。技術に詳しくない事業者も、貴社のPCSを設置するメリットをよく理解したうえで採用されるようになりました。
楊氏●当社は14年に日本市場に参入し、この2年間で貴社を始め複数の企業と戦略的なパートナー関係を築くことができました。お陰様で分散型のPCSが日本でも理解されるようになり、当社では日本向けのPCSの出荷量が15年は350MWに達しました。
日本では買取り価格が24円まで下がったので、当社にとってはより製品を提案しやすい環境が整ってきたと思っています。というのも、事業者が真っ先に考えるのは初期投資の低減です。当社の中型PCSを分散設置すれば、大型PCSを集中設置するよりも、初期投資額をおよそ5%削減できるからです。
そして発電所が完成すると、事業者の課題は長期にわたって発生するO&M(管理・保守)コストの低減です。そこで当社は、O&Mスタッフが現地に行かなくても、IVカーブを測定できるソフトウェアツールを開発しました。遠隔監視でストリングごとの発電性能を診断できるため、O&Mコストの大幅削減が実現するのです。日本では今年9月に販売します。
栄氏●こういったサービスはIT企業ならではの強みですね。スマートフォンなどですぐに確認できる仕様は、事業者にとって安心です。今後もITを活用したサービスをさらに拡充していかれるのでしょう。期待しています。