〝12.375kW〟が生み出す新トレンド
〝パワコンの雄〟オムロンがついに三相機投入!
単相PCS(パワーコンディショナ)国内最大手のオムロンが三相PCSを売り出した。50kW未満の低圧設備はもちろん、高圧設備でも使える3機種だが、注目は6月発売の12.375kW機。4台で49.5kWを構成する同機種は、新たなトレンドを生み出す可能性を秘めている。
住宅用から50kW未満の低圧設備まで2014年12月末時点で累計100万台以上のPCSを国内出荷してきたオムロン。これまで国内では単相機種のみを揃えていたが、製品やアフターサポートに関する評価も高い同社に対し、低圧市場を中心に三相PCSのニーズが高まりつつあった。それだけに、このほど新発売した屋外仕様の三相PCS『KPTシリーズ』は、まさに満を持した市場投入と言える。
ただ、市場では様々な競合他社の9.9kW機や10kW機が流通しているうえ、買取り価格の低減もあり、コスト削減への要求が日々強まっている。そんななかで、同社が打ち出したのが、〝12.375kW〟である。
現在、50kW級の太陽光発電所を設計する場合、三相PCSであれば9.9kW機を5台使うことが多いが、オムロンの12.375kW機に置き換えれば、4台で構成できる。初期コストのほか、保証を含めたトータルコストの削減に繋がるのは言うまでもない。
さらに吸排気構造を工夫し、壁掛け設置時などのPCS間の隔離距離を短縮した。一般的に200㎜を超えることも多いなか、150㎜間での設置を可能としたことで、設置スペースの削減にも貢献する。
いまの太陽光市場では、コスト低減だけでなく、信頼性との両立が求められている。豊富な実績や経験を有するオムロンが提示するソリューションは新たなトレンドとなり得るはずだ。
もちろん9.9kW機と10kW機もラインナップしている。3機種とも高周波絶縁方式を採用しており、外部の商用トランスも必要ない。接続箱機能は、一括入力から最大7回路入力まで選択できるため、柔軟なシステム設計を実現するPCSである。
また、単相機種と同様に『エナジーインテリジェントゲートウェイ』と連携すれば、出力制御への準備も万全。防塵・防水保護規格はIP65であり、海岸から500m以上かつ塩水飛沫がかからない場所であれば、塩害地域での設置も可能だ。
なお、自立運転機能付き機種も同時に発売した。自立運転時の定格容量は6kW(AC100V:3kVA×2、AC200V:6kVA)である。保証サービスについては、1年の機器無償保証のほか、オプションで10年の機器保証及びオンサイト保証も用意している。
環境事業本部グローバルマーケティング部商品戦略課の宮本智明主査は、「低圧領域でもコスト意識が高まっているなかで、12.375kW機はトータルコストの削減で貢献できると考えています。将来的には、産業用でも自家消費型の太陽光設備が増えると思いますので、今回の三相PCSはその分野でも活用していただける製品です」と語る。
オムロンが打ち出した新たなソリューション。本気で太陽光ビジネスを続けるプレーヤーにとって、一見の価値があるはずだ。