山佐がメガソーラーを開発する理由

単独で500MWへ 32円案件も購入検討

佐野慎一社長

太陽光発電事業に参入したのは13年だ。後発ながら、潤沢な資金力と金融機関との信頼関係を強みに事業化を進め、今年4月末時点で104MW分の太陽光発電所を稼働、ID保有案件は343MWに達した。特徴的なのは、プロジェクトファイナンスを一切使用しない点だ。理由は「償却を目的としていた」(佐野社長)ためだが、自社単独のコーポレートファイナンスのみで、ここまで発電所を開発した事業者はほかにない。

こうした経緯を見ると、飛躍を生んだスロットマシンの製造から航空機リースや発電所開発へ展開し、資産を増やして経営基盤の構築に成功したわけだが、それを支えたのは、約50年という長きにわたって事業を継続してきた過程で組織に根づいた社会連帯や相互扶助の精神だったのではなかろうか。発電所開発を続ける理由について、佐野社長はこう語った。

「当初は特別償却を目的とし、一時的な事業と考えていましたが、事業規模が拡大し、開発・運営に携わる方が増えると自然と本業になっていく、これはスロットや飛行機リース事業が歩んできた道と一緒です」。

「いまは案件開発に精一杯ですが、やがては保有する発電所を生かしたエネルギー事業へ展開できればと考えています。ただ、現状、当社にはその力がありません。当社のエネルギー事業を率いてくれる次世代のリーダーを探しています」。

約50年の歴史が生んだ山佐の太陽光発電所。今後どのような未来を拓くのだろうか。