[特別対談 第4回]

ベンチャー企業の役割

エコスタイル 木下公貴社長 × ESI 土肥宏吉社長

プロフィール●木下公貴(きのした・まさたか) 1969年熊本県生まれ。95年神戸大学経営学部卒業後、旧国際トレーディングに入社。08年当時資金繰りに困窮していたエコスタイルの経営を引き継ぎ、代表取締役社長に就任。訪問販売主体の営業体制を改め、ホームページ上で集客する営業に転換、利益率を改善して同社を立て直した。2016年3月期の売上高は130億円、今期は165億円を計画している。

木下氏●政府の目指すエネルギーミックスによると、2030年までに64GW分の太陽光発電設備が設置されなければなりません。それによって、先のCOP21で、日本は30年までに13年比でCO2を26%削減することが決められました。これは国際公約ですから、反故にすることはできません。

これまでの太陽光発電の設備認定量は80GW程度に達していますが、電力会社へ接続申し込みされているものは約半分ですから、私は30年までに15GW以上の新規需要が創出されると思っています。その15GWはメガソーラーではなく、200坪の敷地があれば設置できる50kW未満の低圧発電所が中心になるでしょう。50kW単位で15GW分建設するのだから30万件ですよ。だからこそ、50kW未満にターゲットを絞って事業を展開してきました。

ぜひ他の企業様もお客様のために価格とサービス競争に取り組んで太陽光投資マーケットの構築に尽力してほしいと思います。蓄電池のコスト低減も進んでいます。近い将来、太陽光発電は基幹電源になるはずですから、もう弱点はない。皆さんまだまだ太陽光事業を諦めないでほしいですね。

 

土肥氏●40円でスタートし、買取り価格は24円まで下がりましたが、その過程であらゆるコストが下がっています。パネルはもうグローバル価格ですし、その他の設備や建設費のコスト低減も進展しています。ですから24円でも充分利益を出せるはずなのです。とくに今後、電気料金は上昇していくでしょうから、太陽光発電のコストは相対的に安くなります。太陽光がメイン電源になる日が近づいているので、チャンスですよね。

 

木下氏●私はFITがなくなることを想定して将来の事業を考えています。当社は電力を買い取れますから、いずれはお客様からkWh単価10円で買い取るつもりです。お客様は当社から50kWの太陽光発電所を購入して発電した電力を全量当社に売電するので、年間発電量を5万5000kWhとすると、年間収入は55万円です。

ここでお客様の初期投資が1000万円であれば、つまり当社が土地代と建設費込みの発電所を1000万円でお売りできれば、お客様の表面利回りは5.5%となります。かたや不動産投資は表面利回り3〜4%で大きな市場が形成されていますから、5.5%をご提供できれば成立するはずです。

200坪の土地代を約200万円とすると、建設費込みで800万円。すなわちkW単価16万円へのコスト低減ができれば、FITがなくとも、これまでの売電モデルは成立する。当社は5年以内に実現しますよ。

 

土肥氏●買取り価格10円でも事業を成立させようという高いコスト意識を持たれていらっしゃるとは思いませんでした。そのような発想はなかなか生まれません。やはり太陽光業界はまだまだ進化の過程にあって、それを企業が技術力や発想力で牽引していかなければならないので、ベンチャー企業の存在は欠かせないのでしょうね。当社もまだまだドライブをかけていきます。これからイノベーションを起こしていきましょう。

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