新進気鋭のPVベンチャー エコスタイルの競争力

FITの買取り価格が4月から減額されるが、太陽光発電所建設、エコスタイル(木下公貴社長)の勢いは止まらない。大阪で誕生したPVベンチャーの実力に迫る。

木下公貴社長

エコスタイルは、出力10kW以上50kW未満の太陽光発電所の施工販売に絞る〝選択と集中〟が功を奏し、目覚ましい成長を遂げている。

2013年3月期に6.5MWだった施工実績は、20.7MW、38.8MWと急増し、16年3月期は60MWを超える勢いだ。

業績も好調で、売上高は13年3月期の28億円から、58億円、105億円と年率2倍成長を遂げ、16年3月期は前期比27%増の133億円へ上昇。7億円の経常利益を計上する模様である。

国内の太陽光発電市場が冷え込みかねない状況下、なぜ同社は旺盛な受注を獲得できるのか。

まず圧倒的なコスト競争力だろう。同社は、折板屋根用の太陽光発電所を施工費込みでkWあたり税抜17.2万円〜、地上設置用は同19.2万円〜と、業界最安値で売り出している。買取り価格が24円に下がっても、同社の設備であれば、10%以上の表面利回りが得られ、「5%以上のIRR(内部収益率)を確保できる」(木下社長)。投資商品としては充分魅力がある。

そのうえ、同社は〝責任施工〟をモットーに施工を内製化し、品質にも重きを置く。設備は、中国JAソーラー、CSUN、インリー・グリーンエナジーの太陽光パネルと、オムロン製5.5kWPCS(パワーコンディショナ)で構成。25年のパネル出力保証と10年のPCS機器保証を付与しているが、さらに、施工の20年保証と完成後5年ごとの無償点検を提供している。

価格が最安値で、補償サービスも充実しているとなれば、エコスタイルを選ばない理由はなくなるのであるが、同社はどのようにコストを低減しているのだろうか。木下社長はこう答えた。

「集客をウェブや広告に絞って固定費を抑えています。施工人員は社内で抱えていますが、それによって作業効率は上がり、外注するよりもコストを下げられるのです。当社は5人1チームで基礎工事3日、施工3日の計6日で完成させます。仕入れコストは扱い量が増えているので以前よりも下がりました」。

現在は、仙台、千葉、埼玉、名古屋、大阪、広島、福岡に施工拠点を構え、施工人員は150人である。3月には仙台、名古屋、広島に、5月には博多に、新店舗をオープンさせる予定だ。

木下社長は、「FIT価格がさらに減額されても、当社はコスト低減に取り組み、お客様に投資メリットを提示していきます」と意欲的だ。

その一方で、同社は昨年12月、経済産業省から小売電気事業者の登録を受け、電力ビジネスへ参入した。「電力小売りと太陽光発電システムのセット提案で、太陽光発電の自家消費利用を掘り起こしていく」(木下社長)狙いだ。

エコスタイルの挑戦はまだまだ続く。目が離せなくなってきた。

ウェブサイトはこちら