ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション、PSC販売好調
ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション(=ESI、土肥宏吉社長)がPCS(パワーコンディショナ)の販売を伸ばしている。このペースが続けば、2016年6月期の出荷量は前期比3倍増の150MWに達しそうだ。
「国内の太陽光マーケットが縮小傾向にあるなか、太陽光パネルの販売はやや落ち着きましたが、PCSは相変わらず好調です」。
ESIの土肥社長は近況を語る。PCSは、太陽光パネルとは異なり、設備認定後のメーカー変更は認定の取り直し要件にあたらない。設備認定済みの案件も販売対象となるため、同社は着々と実績を上げている。
ESIがPCSを扱い始めたのは13年7月である。最初は、独SMAと田淵電機のPCSだった。
当時の状況について、土肥社長は、「取引先の方から、PCSも一緒に調達したいという要望を受けたのがきっかけでした。当社の主力商品はソーラーワールド製のパネルですから、PCSを選ぶ際は、パネルとの相性を考慮しました」という。
とくにSMAの製品はソーラーワールドとの相性がよかったのだろう。SMAとソーラーワールドは、ともにドイツのメーカーで、耐環境性や長期耐久性に優れているなど、製品の特徴に共通項がある。実際、欧州ではソーラーワールドのパネルとSMAのPCSがセットで使用される場面も多い。
ただ土肥社長は、「SMAさんの製品は特長が多く、非常に魅力的です。ソーラーワールドのパネルとの相性も抜群です。ただ、当社はパネルの商流以外に独自にPCSの販路を開拓しました。いまではPCSを単体でお売りするケースもあります。お客様の要望に応じて、様々なメーカーの製品を販売しています」と話す。
ESIは現在、SMAと田淵電機のほか、山洋電気、TMEIC(東芝三菱電機産業システム)、中・サングロウの製品を扱っており、それぞれ提案に力を入れている。
そのESIが、PCS販売で存在感を高めたのは、14年末からだろう。電力会社が接続可能量を一斉に公表し、出力抑制のルール変更の話が持ちあがった頃である。
「遠隔でPCSの出力を制御しようということになって、お客様から多くの問い合わせをいただきました。そこで当社は、エンドユーザーの方々に正確に情報をお伝えしようと、PCSの技術的な知見を深めることにしたのです」。
それが後に実を結んだ。ESIは、単にPCSを仕入れて卸すだけではなく、施工販売店やエンドユーザーに技術サポートを提供するようになり、それによって顧客との信頼を築いていったのである。
「いま分散設置のニーズが拡大していますが、実は様々な設計手法があって、単純ではありません。ですから当社は、現場の状況とお客様の意向を汲み取ったうえで、最適なPCSの提案はもちろん、PCSの発電データを送るための通信デバイスまで提供し、しっかりとサポートしていきます。そしてPCSメーカーさんとの関係を強固に、メンテナンスやアフターサービスも提供していきます」。