[特別対談 第2回]
O&M業者の選び方
横浜環境デザイン 池田真樹社長 × ESI 土肥宏吉社長
客観的な評価・診断 そして幅広い提案力
池田氏●では、本題のO&M業者の選び方についてですが、やはり最適なサービスを提供してくれる業者かどうか、そこが選定の基準になるのではないでしょうか。逆にO&M業者はこれから競争が厳しくなりますから、選ばれるためには最適なサービスを提供していくべきだと思います。電気的な技術力や、現場対応、洗浄や草刈りなど、部分的にアピールされる業者が多いのですが、やはり発電所を評価・診断し、いま何が必要なのか、限られたコストのなかでO&Mメニューを提案できる力です。
洗浄はオプションのひとつだと思っていますが、実際、土埃の汚れが酷い発電所があって、洗浄した後に2%以上発電量が回復した例もあります。この場合は、お金をかけてでも、きれいに洗った方がよいのです。
一方、毎年全200回路のI‒Vカーブを測っている正常なサイトがあったとしましょう。3日かかる全数検査を1日で済む抜き打ち検査に代えてコストを下げるべきです。
幅広い知見という意味では、たとえばO&M業者は、背高泡立草の生態についても知っておくべきでしょう。実は壊滅的に伐採するコツがあるのですが、それを知らずに毎年除草している発電所と、1年目で除草を終えた発電所とでは、コストは異なります。
土肥氏●私は海外の案件で、法面に設置した発電所は、土砂崩れを防ぐために、敢えて草を残しておかなければならないということを、ある地質学者から学びました。初めて聞いたときは目から鱗でした。
こうして考えると、O&M業者は、もう電気の領域を超えて、建築や土木、あるいは発電所の運営という点では経済、法律、経営に至るまで、幅広い知見を持ち合わせておかなければならない。ですから発電事業者の方々は、O&M業者にあらゆる疑問を投げかけて、それに対してどう応えてくれるか、どのようなソリューションを提供してくれるか、業者の対応力から判断されることをお勧めします。