太陽光の名脇役

カワムラがO&Mを始めた理由

長期安定稼動への挑戦

マーケティング統括部東日本ビジネス開発課の岩﨑晃大氏

では、なぜ受配電機器メーカーのカワムラが、O&Mを始めたのだろうか。EPC(設計・調達・建設)や発電事業へ業容を拡大するパネルメーカーでも、O&Mに着手するところは少ない。異分野への参入は容易ではないだけに、相当な決意があったはずだ。

むろん、太陽光発電所の建設需要の縮小を想定し、ストック市場での成長戦略という目論見もあろう。しかし岩﨑氏は参入の経緯をこう強調した。

「これまではメーカーとして〝安全・安心〟を念頭に製品を開発してきましたが、ハードの提供だけでは片手落ちだと考えるようになりました。O&Mで長期安定稼働を後押しし、社会貢献したかったのです」。

太陽光発電所が、国民の負担で成り立つFITの助成で誕生し、そのおかげでメーカーとして成長した。だが、基幹電源として国民の利益に資するべき発電所が、施工不良が相次ぎ、長期の安定稼働すらままならない実態がある。この課題に対し、政策的に適切な点検や保守の義務化が進められる方向だが、やはり業界の自助努力で改善していくべきであろう。

カワムラには、PV企業としての責務を果たそうという確固とした理念があり、それが新事業へ挑戦する原動力を生み出しているのだろう。振り返れば、業界で初めて開閉器容量20Aの接続箱を開発し、20A接続箱では総回路数を削減してシステム全体のコスト低減に貢献してきた同社だ。O&Mでも新たなイノベーションを巻き起こすかもしれない。

「太陽光市場で、20年以上にわたる長期運用の一翼を担えればという思いで開閉器ひとつから自社開発に力を入れてきました。その方針は、製品開発にしても、O&Mサービスにしても変わりません。O&Mは異分野ですが、メーカーとして培った経験やノウハウを少なからず生かせると思います」(岩﨑氏)。

発電量低下の原因は、パネルやPCSの異常に加え、キュービクルや接続箱、集電箱の故障も少なからず存在する。そんなとき、受配電機器メーカーの同社に依頼すれば、的確かつ迅速に解決してくれるに違いない。

カワムラの挑戦は始まったばかり。今後に注目だ。

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