ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション、アジア展開加速
太陽光商社のヨーロッパ・ソーラー・イノベーション(土肥宏吉社長)がアジアへの展開を加速させている。東南アジアをはじめインド、中国、アフリカでモジュールやPCS(パワーコンディショナ)を販売し、技術コンサルティングサービスを提供していく。
「日本の太陽光マーケットが縮小傾向にあるから海外へ展開するというわけではありません。日本にはまだまだ成長の余地があると思っていますし、当社には、欧州の技術も持ち込んで日本の太陽光市場の発展に寄与するという事業理念があります」。
土肥社長は海外ビジネスについて語る前に断りを入れた。
事実ESIは、3期目にあたる2015年6月期の売上高は対前期比約40%の大幅増収を遂げ、50億円規模に達している。独ソーラーワールド製モジュールの販売量は50MWと前期比微増にとどまったが、PCSの販売量は前期と比べて実に10倍以上も出荷を伸ばし、50MWの販売実績を上げている。この勢いは今期も続き、売上高はさらに伸びる見込みだ。
なぜ海外に打って出るのか。土肥社長はこう説明する。
「まずアジアの企業から当社への引き合が多いのです。そして東南アジアやインド、アフリカは、これから需要が拡大します。ちょうど3年前の日本と同じ状況ですから当然魅力があります。そもそも当社は貿易商社ですから、海外をフィールドにビジネスを広げていくのは自然の流れで、特別なことではありません」。
土肥社長は、巴工業で約15年にわたって遠心分離機の海外営業に携わり、そこから太陽光発電との接点を持った経緯がある。一時は太陽光関連企業へ転籍し、ドイツで新規事業を立ち上げている。むしろ海外が自身の得意とするビジネス領域なのかもしれない。
では、どのような事業モデルを描いているのか。基本路線は日本での展開している独ソーラーワールド製モジュールやSMA製PCSの卸販売になるだろう。だがアジア市場は日本以上にコスト要求が厳しい。勝機はあるのだろうか。
土肥社長は、「もともと当社は日本でもソーラーワールドのモジュール販売からスタートしています。コスト面でアドバンテージがあったわけではありません」とし、「やはり付加価値の提案です。たとえばPCSの販売でも、単に製品を売るだけではなく、販売店さんやユーザーに対してもアフターサービスや細やかな技術サポートを提供します。カギは、技術コンサルティングと合わせたソリューション営業です」という。
その一方で、ESIは遠隔監視システムメーカーの独パワードゥー社や独O&M大手グリーンテック社と提携してO&Mサービスを開始しているが、このO&Mもアジアへ広げていくつもりだ。
つまり、モジュールやPCSの販売からO&Mや技術コンサルティングまで、複合ソリューション提案で付加価値を高めていく戦略である。
「2年後には海外事業を、現在の日本の事業と同じ規模まで成長させていきたいと思っています」(土肥社長)。