ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション PCS50MW出荷

太陽光関連商社のヨーロッパ・ソーラー・イノベーション(=ESI、東京都千代田区、土肥宏吉社長)が、産業用太陽光市場でPCSの売れ行きを伸ばしている。太陽光マーケットは縮小傾向にあるが、独自に販路を開拓、前期の出荷量は50MWに達し、今期はさらに上回る見込みだ。

(左)独SMA製パワーコンディショナ 『サニートライパワー』(右)田淵電機の出力制御対応パワーコンディショナ『EPC-S99MP5-L』

ESIは、創業3期目にあたる2015年6月期、売上高は対前期比約40%増の50億円規模に達した。独ソーラーワールド製のモジュールの販売量は50MWと前期比微増で推移したが、PCS(パワーコンディショナ)の販売量は同比10倍の50MWと好調で、売上を押し上げた。

土肥社長は、「マーケットは縮小傾向にありますが、ありがたいことに、当社は今期に入ってもPCSの販売が好調に伸びています」と近況を語る。

ESIがPCSの販売を始めたのは13年7月。独ソーラーワールドの総代理店としてモジュールを販売に傾注していたころで、販売先からPCSを調達したいという要望を受けたのがきっかけだった。

そこで、同社は独SMAと田淵電機に声をかけたのであるが、当時の経緯について、土肥社長は、「SMAさんのPCSはやはり耐環境性と堅牢性が特長でしょう。田淵電機さんの製品に対してはマルチストリング機能に魅力を感じました。当社の主要商材はソーラーワールド製のモジュールですから、モジュールとPCSの相性という観点も重要で、慎重に製品を選びました」と語る。

仕入れルートを確保したESIは、早速PCSの販売を開始したが、当初の販売量は月間500kW前後だった。それでも、モジュールの販売ルートに乗せて徐々に実績を伸ばしていきながら、新たな商流も開拓していった。

転機が訪れたのは昨年末だった。電力会社が接続可能量を一斉に公表し、出力抑制のルールを変更するという話が持ちあがったころだ。

「経産省で様々な議論が交わされ、結局遠隔でPCSの出力を制御しようということになりました。PCSには出力制御機能を搭載しなければならなくなったということもありまして、お客様から非常に多くの問い合わせがありました。これをきっかけに、当社としてもエンドユーザーへのサービス拡充の一環から、PCSに関する技術的な知見を深めていこうと考えまして、それがその後のよい結果に繋がったのだと思います」。

ESIは、単にPCSを仕入れて卸すだけではなく、施工販売店やエンドユーザーに対して、技術サポートを提供する体制を築いている。

土肥社長は、「PCSは発電所の心臓部であり、O&Mのターミナルです。非常に重要な整備なので、PCSメーカーさんとの連携を深めながら、今後も販売からメンテナンス、技術サポートまで、しっかりとサービスしていくつもりです」と力強く語った。

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