ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション、O&M本格始動

年内50MW契約へ

太陽光専門商社のヨーロッパ・ソーラー・イノベーション(=ESI、土肥宏吉社長)がO&M(保守・管理)を本格的に始める。今年9月から年内にかけて受注量は50MWになる予定で、順次サービスを開始する。5年以内に取引量500MWの目標を掲げ、新規顧客の開拓に乗り出す。

ESIのO&Mの特徴は、「資産価値の向上を目的とした総合管理」(土肥社長)。定期点検や遠隔監視システムを用いた日常監視のほか、駆けつけやパネルの洗浄、除草など一般的なサービスも提供するが、加えて、発電事業者への技術コンサルティングや財務・資産管理といった発電所の総合的な資産運用を行う。

欧州の太陽光事情に詳しい土肥社長は、2012年の創業当初からO&Mサービスの実施を計画、「太陽光発電所を資産と捉え、建設前のシミュレーションよりも発電パフォーマンスを高めていた欧州の手法に着目していた」という。

そこでESIは独O&M大手のグリーンテックに協力を要請した。グリーンテックは独立系では世界トップのO&M会社。中小発電所から10MWを超える大型案件まで取引量は500MWにのぼる。その豊富な経験や知見をESIは日本に持ち込みたかった。

グリーンテックにとっても太陽光専門商社のヨーロッパ・ソーラー・イノベーション(=ESI、土肥宏吉社長)がO&M(保守・管理)を本格的に始める。今年9月から年内にかけて受注量は50MWになる予定で、順次サービスを開始する。5年以内に取引量500MWの目標を掲げ、新規顧客の開拓に乗り出す。日本市場へ販路を広げる好機になる。両社の交渉はとんとん拍子で進み、グリーンテックのO&Mサービスを日本で行うことを決めた。両社は14年8月に業務提携を結び、今年4月にはESIがグリーンテックに資本参加している。

サービスを開始するにあたっては、時間をかけて入念に検証した。欧州と日本では気象条件や法規制など異なる点は少なくない。ESIが保有する千葉県内と福井県内の計4ヵ所の太陽光発電所で約1年にわたる実証試験を実施し、このほど満を持して正式に受注を開始したわけだが、反響は想定以上だったようだ。土肥社長は状況を語る。

「我々は独立系ですし、あらゆる発電所にサービスを提供できます。その点を評価いただいているのでしょうか。低圧案件から特高案件まで引き合いは1.5GWを超えており、対応に追われています」。

 

「1人で1GW管理」

ESIのO&Mサービスの強みは何か。土肥社長は「コストパフォーマンス」と答え、こう続ける。

「グリーンテックは徹底した業務の効率化を進め、エンジニア1人で450MW分の発電所を管理しています。我々は100ヵ所、計1GWの発電所を1人で管理する体制づくりを目指しています」。

管理の合理化に努める傍ら、ESIは太陽光商材の取引を通じて関係を深めた約100社の施工店とO&Mでも連携する。緊急時の駆けつけや定期メンテナンスなどは他社の協力が欠かせないためだ。そしてこのスキームを東南アジアや中国、インド、アフリカで展開する青写真を描く。

太陽電池モジュールやPCS(パワーコンディショナ)、架台の販売とともに、先進的なO&Mサービスを始めるESI。着々と成長路線に歩を進めている。

ウェブサイトはこちら