「PCS、蓄電池、そしてO&M 太陽光マーケットにはまだまだ商機がある」
ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション 土肥宏吉 社長
FITのプレミア期間が間もなく終了し、系統制約が影を落すなか、中堅PV企業はどう生き抜くべきか。創業3期目で年商40億円を突破したPVベンチャー、ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長に話を聞いた。
──今年から事業環境は厳しくなる?
FITのプレミア期間が3年で終わることは、あらかじめ知らされていたことです。皆さん対策を講じられていると思うのですが、一部の方は、買取り価格が27円になると事業継続が難しいと感じておられる。
しかし、アパート経営などの不動産投資や他の金融商品と比較すれば、まだ太陽光発電事業の方が利回りは高いので、私はむしろ価格27円はありがたいと思っています。
日本でFITが始まった頃、ドイツのFIT価格は現在の日本の価格よりも低く抑えられていました。当時のモジュールのW単価は現在の日本の市価よりも高かったので、遥かに厳しい状況でしたが、それでも一定の需要が創出されました。私はドイツで太陽光関連の事業に携わっていたので、よく覚えています。
──電力会社による系統制約の影響は?
系統制約というか、再エネの接続可能量は、いま議論されているベストミックスなどによって、ある程度決められてしまいます。リスクを織り込んで事業計画を立てるべきですが、だからといって日本市場に、あるいは太陽光事業に見切りをつけるつもりはありません。努力で乗り越えられる部分は少なからずあると思うからです。
たとえば、蓄電池を併設しても、発電事業の採算が合う水準までコストが下がればどうでしょう。非現実的な話に聞こえるかもしれませんが、設備認定の取り消しによって系統枠が増加される可能性もあり、系統が完全に受け入れオーバーになるまでには、まだ時間があります。そもそもコストダウンはPV企業の宿命ですから、粛々と努力していくべきだと思います。
この3年間は、政府が市場を用意してくれて、企業を儲けさせてくれた。これからは企業がイノベーションを起して市場をつくりあげていく番です。発想の転換が求められているのです。
──今後の事業展開は?
当社の現在の立ち位置は、太陽光コンサルティング商社です。モジュールやPCS(パワーコンディショナ)をはじめ、架台、接続箱、ケーブル、キュービクル、あるいはオプティマイザまで、よい製品をお求めやすい価格で提供していきます。最近はPCSの受注が好調で、4月だけで20MW規模の注文をいただきました。塩漬けになっていた大型案件の開発の動きがあり、PCSは変更が利くので、まだまだ商機が見込めます。
そして今夏から蓄電池を積極的に売り出します。住宅用から大型案件まで、蓄電池をいかに普及させていくか、メーカーさんと交渉しながら、戦略を練っています。
O&Mサービスは今年から本格化します。ドイツのO&M大手グリーンテック社と資本提携し、より強固な関係を築きました。自社のプラントで検証を重ねてきたので、自信をもって提供していきます。最近は中国や東南アジア、インドなど海外企業からの問い合わせも多く、引き合いは100MWを超えています。