高精度予測で再エネ卸売り 4月スタート!

Looop、電力ビジネスに本格参入

〝プレミアム買取り〟と〝『みえるーぷ』無償提供〟で差別化

再エネベンチャーのLooop(東京都文京区、中村創一郎社長)がこのほど、新たな事業領域へ足を踏み入れた。今年4月より太陽光発電所のオーナーから電力を1円高く買取り、新電力(PPS)へ卸売りする。

太陽光発電所のパッケージ商品、『MY発電所キット』の販売実績が昨年末に900件、総出力70MWを超えたLooop。今回は、複数の発電所から電気を買取り、まとめて新電力に販売する電力卸売り事業を始める。

「単なる仲介役ではない。太陽光発電の発電量を予測し、価値を高めたうえで、販売します」(事業本部営業企画部の小嶋祐輔部長)。

太陽光発電を電源として活用するためには、高精度な発電量の予測が欠かせない。同社は、天気予報や電力会社の検針データのほか、独自の遠隔監視サービス『みえるーぷ』から取得した発電データをもとに定量分析する。それによって、予測の精度を高め、新電力に高付加価値な電気を販売するのである。

同社が買取り対象とする発電設備は、FIT(全量買取り制度)を活用した全量売電を行う出力10kW以上の産業用太陽光発電所。現在のところ、FIT価格40円または36円(いずれも税抜)の設備としている。

「今後は32円設備への対応も進めていきたいと考えています。将来的には、風力や地熱、バイオマスといった他の再エネ電源からの調達も検討しています」(小嶋部長)。

契約期間は3年。以後1年更新で、FITの買取り期間が終わるまで延長できる。切り替え手続きは、低圧の場合約3〜4ヶ月、高圧の場合6ヶ月程度。対象地域は、東北、東京、中部、関西、九州の各電力エリア。北海道、中国、四国でも順次対応していく予定だ。

FIT価格に1円/kWhを基本としたプレミアムを上乗せして買取るため、発電所のオーナーにとっては、売電収入アップが見込める。

ただし、これだけであれば同様のスキームを提供するプレーヤーが存在する。同社は競合他社との差別化を図るため、『みえるーぷ』の本体費・通信費・配送費無料サービスも提供する。

3G回線を通じて、発電量を遠隔からモニタリングできる『みえるーぷ』は発電所の安定稼働に貢献する。この無料サービスを使えば、発電所のオーナーは工事費を負担する必要はあるが、導入費用が格段に下がる。遠隔監視を導入したいオーナーにとって、ネックとなっていたコスト負担が大幅に軽減するのである。

また、高圧連系の発電所に対しては、保守点検サービス『まもるーぷ』の初年度サービス料を無償で提供する。小嶋部長は、「発電所のオーナー様に対して、プレミアム買取りに加え、安心感をお届けする見守りサービスが提供できます」という。

同社は4月からの卸売り事業の開始に向け、2月末より太陽光発電所からの電力買取りを受付けている。

「太陽光発電の発電量予測の精度をブラッシュアップしていくことはもちろんですが、2016年には、一般家庭も含めた低圧領域が自由化されます。電力小売り事業への参入も検討しています。再エネを最大限普及させたいという当社の理念を実現させるためにも、パートナー様と協力しながら進めていきます」(小嶋部長)。

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