「パネル販売からO&Mまでサービス拡充 ユーザーの信頼に応え、選ばれる企業へ」
ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション 土肥宏吉社長
電力会社による系統制約問題が顕在化し、FITのプレミア期間が間もなく終了する。マーケットの潮目が変わりつつあるなか、PVベンチャーは何を目指すのか。太陽光専門商社ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長が近況と抱負を語った。
──2014年の販売はどのような状況でしたか。
お陰様で順調でした。出力50kW未満の低圧発電所からメガソーラーまで幅広く注文をいただきました。
当社は、設立当初から独ソーラーワールド製のモジュールを販売してきましたが、そのほかにも、田淵電機さんや独SMAさんのPCS、そして架台や接続箱、ケーブルといった周辺機器、さらには日立産機システムさんのキュービクルやタイゴエナジーさんのオプティマイザも取り扱っています。総じて売れ行きは好調でした。
モジュールは、13年に発売したバックシートの代わりにガラスを使用して耐久性を高めた『サンモジュール・プロテクト』。これが相変わらず人気ですね。30年間の出力保証という補償サービスもユーザーさんにとって心強いようです。
──このほどO&M(オペレーション・アンド・メンテナンス)サービスを始められたようですが。
発電事業者さんが最終のお客様ですから、単に設備を売るということだけでなく、長くお付き合いさせていただきたいという考えがあったので、O&Mサービスを始めることにしました。太陽光発電所は電力インフラの一端を担うわけですから、品質は担保しなければなりません。そのためには設備だけでなく、日々のO&Mも重要になってくるのですが、この辺りは欧州が先行しています。そこでO&M世界大手の独グリーンテック社と昨年提携しました。
我々が提供するのはドイツの先進的なO&Mです。技術コンサルティングや財務管理、資産管理なども含めた総合的な運用サービスで、お客様の利益の拡大を目的としています。自社の発電所に導入しながら検証を重ねてきたので、自信をもってご提案していきます。施工業者さんと協力して今年4月からサービスを本格化する予定です。
──今年の市場動向をどう見ていますか。系統制約問題もありますし、間もなくプレミア期間が終了します。
系統制約に関しては、経産省の対策がどう市場に影響するのか。まだ見えてこないので、正直どうなるのか分かりません。出力抑制によるリスクについては正確にお伝えするべきでしょうし、当社も微力ながらその不安を取り除くためのサービスを提供していきたいと考えています。
ドイツでは、発送電が分離され、再エネは最優先に接続されるという法整備が整っています。再エネを系統に接続できないという話は聞いたことがありません。電力消費量は日本の半分ですが、すでに太陽光は35GW、風力も相当量連系されています。
それと比べれば、まだ日本の実導入量は少ない。震災後の計画停電を見ても、日本の電力会社には高度な技術があるので、その技術を活用すれば、乗り越えられるはずだと思いますが。
やはりプレミア期間の終了もありますし、今年から市場は落ちついてくるでしょう。それでも企業がコスト低減の努力を続けながら品質のよい製品やサービスを供給していけば、一定の需要は残ると思っています。
当社の事業理念は、欧米の技術を日本に持ち込んで、日本の太陽光市場の健全な発展に貢献することです。まだまだ新しい製品やサ―ビスを提供していきますよ。