ネクストエンジニアリングの無償メンテナンスサービス
発電事業の強い味方に
太陽光システムの施工・メンテナンスを手掛けるネクストエンジニアリング(茨城県水戸市、武藤勝人社長)がこのほど、独自のメンテナンスサービス『Zメンテ』を開始する。約50項目に及ぶ定期点検を無償で行うというもの。発電事業者の間で話題を呼びそうだ。
『Zメンテ』は、電力の調達先である出力30kW以上の太陽光設備のオーナーを対象に提供するメンテナンスサービス。同サービスは新電力のスマートテック(茨城県水戸市、小寺雄三社長)が取引価格をFIT価格と同額で電気を買い取り、その期間中無償でメンテナンスを施す。
メンテナンスはスマートテックの100%子会社、ネクストエンジニアリングが行う。太陽電池モジュールやPCS(パワーコンディショナ)、架台、接続箱などの機器の目視点検から操作の確認まで、約50項目の定期点検を1年に1回実施する。サーモグラフィーやI-Vチェッカーなどの機材を使用して電気特性や絶縁抵抗、接地抵抗などを細かく測定し、発電事業者にレポートを提出。遠隔監視システムを導入している発電所では、モニタリングを代行し、異常時には警報を発令、有償になるが駆けつけサービスも提供する。
ネクストエンジニアリングの武藤勝人代表取締役は、「我々が点検する50項目は、発電所を20年間維持するために必要最低限チェックしておくべき項目。要所をしっかりと押さえることで売電収益を担保する」と語る。
ネクストエンジニアリングは『Zメンテ』の開始に伴って、同サービスの仲介代理店を募集中。代理店は発電事業者へ同サービスを紹介し、成約すると代理店には1kWhあたり規定の仲介料が支払われる。支払いは売電期間中継続される。
2005年に設立したスマートテックは、オール電化製品を主に販売していたが、東日本大震災の影響でオール電化の需要が急減速。11年3月には住宅用太陽光システムの販売・施工に着手した。当初は国内メーカーのシステムを中心に扱っていたが、今は自社製システムも販売している。
スマートテックの小寺雄三代表取締役社長は「我々はO&M(オペレーション&メンテナンス)が流行する以前からメンテナンスを重要視し、標準サービスとして提供していた」と語る。
13年9月には施工とメンテナンスに特化したネクストエンジニアリングを設立。産業用のEPCを始め、14年9月期は、住宅用太陽光システムを約1000件、メガソーラーを含む産業用案件を複数手掛けた。今後は電力小売り自由化に向けて新電力事業を展開する。
発電事業者にとって、太陽光発電所の稼働は終わりではなく始まりだ。だが稼働後のメンテナンスをなおざりにしている事業者は少なくはない。あるいはコストの制約上そうせざるを得ないのか。ならば実質0円のメンテナンスサービス『Zメンテ』の活用を検討してみてはどうだろう。20年に亘る売電事業の心強いサポートになり得るはずだ。