ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション、地域施工店と連携強化
設備販売から施工、O&Mまでサービス拡充へ
太陽光関連商社のヨーロッパ・ソーラー・イノベーション(=ESI、横浜市中区、土肥宏吉社長)は、地域の施工店と関係を深め、実績を伸ばしている。ただ電力会社による再生可能エネルギーの接続保留問題が浮上し、先行き不透明感もある。動静をどう見ているのか。
ESIは、独ソーラーワールドの日本総代理店としてモジュールの販売を手掛ける一方、PCS(パワーコンディショナ)や架台などの関連設備を提供している。PCSは、独SMA、田淵電機、山洋電気、そしてヒロセーから東芝三菱電機産業システムの製品を仕入れ、架台は富士スレートと日栄インテックの製品を扱っている。
その同社はこのほど、商社の枠を超えた取り組みを展開し、エンドユーザーへのサービス拡充に力を入れている。まずO&M(オペレーション・アンド・メンテナンス)。今年8月にO&M世界大手の独グリーンテック社と提携し、技術コンサルティングや財務管理、資産管理なども含めた総合的な運用サービスを始めた。
土肥社長は、「発電事業者さんが最終のお客様ですから、単に設備を売るということだけでなく、長くお付き合いさせていただきたいという考えがありました」と経緯を語り、「施工に関しては、当社は信頼できる有力な施工会社さんと組ませていただいているので、高品質な建設と運用をトータルで提供できていると思います」と自信を見せる。
同社はいま地域の施工店との協力関係を強めている。その1社が栃木県に本拠を構えるアルシス。同社は施工品質の向上に力を入れており、同社の高根沢喜美一社長は施工店団体「職人革命会」の会長を務めるなど、精力的に活動している。
高根沢社長は、「発電所の品質を底上げしていかなければ業界の発展はない。カギは理念を共有できる企業同士のアライアンスだと思います。「職人革命会」は、定期的に勉強会を実施して施工技術を高め合う組織。いまでは全国にネットワークが広がっています。ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションさんとも発電設備の取引からO&Mまで協業し、よい関係を築いています」という。
では、今回の電力会社による接続保留をどう見ているのだろうか。土肥社長は、ドイツの事情を交えてこう述べた。
「ドイツは、発送電が分離され、再エネは最優先に接続されるという法整備が整っているからでしょうか。再エネを系統に接続できないという話は聞いたことがありません。電力消費量は日本の半分ですが、すでに太陽光は35GW、風力も相当量連系されています。震災後の計画停電を見ても、日本の電力会社には高度な技術があると思います。日本の技術をもってすれば、調整は可能なのではないでしょうか。電力会社には頑張ってほしいですね」。
高根沢社長は、「接続保留が長期化されれば確かに問題です。ただ施工会社が限られているなかで大量の建設需要があり、施工品質が低下しているのが現状です。それが改善されるという側面もあると思います。市場が健全に成長する環境が整備されることを願っています」と語った。