ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション

ソーラーワールド製モジュール 売れ行き好調

太陽光関連商社のヨーロッパ・ソーラー・イノベーション(=ESI、横浜市中区、土肥宏吉社長)が太陽電池モジュールの販売を伸ばしている。製品は独ソーラーワールドの結晶系モジュール。出力50kW未満の低圧分野からメガソーラーまで、様々な領域で採用機会が増えている。今年7月末時点までの累計出荷量は50MWに達し、今期(2015年6月期)は100MWを超えそうだ。

(左)土肥社長(右)30年耐久モジュール『サンモジュール・プロテクト』。

ESIは12年7月の設立後、独ソーラーワールドと総代理店契約を結んだ。以後ソーラーワールド製モジュールを着々と販売し、業績を伸ばしていった。その目的を土肥社長はこう語る。

「モジュールの評価は一般に、コストと発電効率が基準になる。しかし不具合やトラブルを想定すると、長期間安定して発電すること。それが大前提になるでしょう。長期信頼性においてはやはりソーラーワールドです。世界最高の製品なので、日本のお客様には自信を持って提供してきました」。

しかし、FIT(全量買取り制度)導入時の日本のマーケットでは、収益性を重視するユーザーが多かった。長期信頼性というメリットは、理解されにくい環境だったはずだ。

それでも13年秋口、同社のモジュールが一躍話題にあがる。きっかけは両面ガラス仕立ての『サンモジュール・プロテクト』の発売だった。

バックシートの代わりにガラスを使用して耐久性を格段に高め、初年度の出力劣化率3%、経年劣化率は0.35%。ユーザーには30年間の出力保証が付与されるという商品だ。ESIはまず多結晶シリコン型250Wタイプを売り出し、14年3月から単結晶シリコン型275Wを販売した。

「太陽光に精通したEPC(設計・調達・建設)業者からの注文が多かったですね。『サンモジュール・プロテクト』のメリットが理解されるには時間がかかると思っていましたが、日本には意識の高い方が意外と多くいらっしゃるということがよく分かりました」。

品質のトラブルを想定して融資する銀行側の厳しい目もある。それだけに、発電事業者やEPC企業の間では、モジュールの長期信頼性という商品価値が徐々に浸透していたのだろう。

こうしたソーラーワールド製モジュールの商品力に加え、ESIは物流体制の構築に力を入れた。苫小牧、秋田、東京、横浜、名古屋、福井、神戸、松山、博多と計9ヵ所に拠点を構え、特に主要拠点の東京、福井、神戸、博多では、常に一定数の在庫を確保した。注文が入ると、顧客のサイトに最も近い拠点から商材を輸送する体制を整えている。

「当社の役割は、商品を保管し、注文が入ればできるだけ早くユーザーにお届けすることです。そのためには、当たり前ですが、物流体制がカギを握ります。今後は物流システムをIT管理し、より効率を高めていきます」。

ESIは納期短縮を実現した。50kW未満の小さいものであれば1週間程度。新規顧客でメガソーラーなどの大型案件であっても、平均2.5ヶ月から最長で4ヵ月あれば納品できる。

ESIは、モジュールとともにパワーコンディショナや架台、ケーブルといったシステム商材を扱うほか、独グリーンテック社とO&M(オペレーション・アンド・メンテナンス)サービスを実施している。モジュールの輸入商社からシステムの販売、そしてO&Mへ。業容拡大に動く同社の次の展開とは。ますます目が離せなくなってきた。

ウェブサイトはこちら