ジャパンパワーサプライ、32円案件も積極開発

太陽光ディベロッパーのジャパンパワーサプライ(本社・東京都港区六本木、資本金・1億6100万円、釜谷正宏社長)は、太陽光発電所の開発実績を伸ばしている。2014年11月期は完工ベースで前期比倍増の15MWとなる見通しだ。今年度の価格32円の案件も手掛けており、開発予定のプロジェクトは500MWに達している。

同社は、土地開発からEPC(設計・調達・建設)まで自社グループで請けて、完成した発電所を売却する太陽光専業のディベロッパーだ。対象は、2MW未満のメガソーラーを中心に、50kW未満の低圧案件から50MW規模の特高案件まで幅広い。短納期と高い案件成立率に定評があり、発電事業者の間で認知度を高めている。

だが、意外にも社歴は浅い。設立は2012年12月。FIT(全量買取り制度)が始動したのが同年7月だから、出遅れた後発組だった。

だからこそ独自色を打ち出す戦略を入念に練ったのだろう。行き着いたのが土地開発からEPCまですべて手掛ける〝ワンストップソリューション〟だった。後の展開を見れば、この戦略が成功を呼んだといえよう。

ひとつはコスト競争力。一般に、大手EPCは、土地の造成や電気工事、施工などは下請け業者、あるいは孫請け業者に発注し、そのために多層のマージンが発生して総工費は割高になる。

しかし同社は、土地探しや許認可手続き、系統連系協議、設計、部材調達は自社で行い、建設も、土木工事から電気工事、施工まで、自社グループもしくは一部の下請け業者で請ける。ゆえに大手のような多層マージンは少ない。そればかりか、少数精鋭の専業部隊が組織化され、経験を積むに従って処理能力を高め、工期短縮によるコスト低減も実現したのだ。

ジャパンパワーサプライ経営企画室は、「2MW未満のメガソーラーであれば基礎工事から完成まで3ヵ月。電力協議を3ヵ月程度とすれば、土地探しから完成まで1年もかからない」と自信を覗かせる。

さらに、ワンストップソリューションは、同社に対応力を養わせ、案件成功率を高め、発電事業者との絆を深める好循環を生んだ。

同社は、開発の一切をすべて引き受けてきたために、様々なトラブルや課題を多く経験した。これにより、対処法を修得するとともに、物理的に案件組成が難しい条件を見極める目も養った。

「土地を取得する前に、独自のデューディリジェンスを行う。この段階でほぼ100%案件化できるかどうか判断できます。不確定なのは系統連系ですが、事前検討の段階で、ある程度結果を予測できます」。

いま買取り価格の減額と適地の減少によって発電所開発のハードルは高くなっている。完成見通しの立たない案件は受けられず、完全に手を引くEPC企業も出てきた。だが、投資家は増える一方で、32円案件でもメガソーラーを建設できるEPCを求める声が強まっている。

これについて、「当社は土地情報から、開発の成否を判断できる。32円案件でも事業者が利益を上げられるものは少なからず存在するので、開発を継続していきます」と意欲的だ。

そしてO&M(オペレーション・アンド・メンテナンス)だ。「発電所を建設したものがO&Mまで実施する。これが一番です。建設中に地盤の特徴を把握するため、予期せぬ大雨等が発生した場合でも、確認するポイントがわかっているため、対応が正確かつ早くなる。結果、損害を減らしメンテナンスコストを下げられる」。

ウェブサイトはこちら