ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション、独グリーンテックと欧州版O&M本格開始
太陽光パネル販売のヨーロッパ・ソーラー・イノベーション(横浜市中央区、土肥宏吉社長)が今年8月からO&M(オペレーション・アンド・メンテナンス)に着手する。独グリーンテックと提携し、欧州の手法を取り入れる。彼らの欧州版O&Mとは。
全量売電が始動して2年。我が国でもここ最近は、稼働した太陽光発電所のO&M体制を重要視する発電事業者が増えてきた。
出力50kW以上の発電所であれば、電気主任技術者による定期点検やパネルの洗浄、草刈りのほか、遠隔監視システムを用いて24時間発電を監視する日常管理が一般的である。
大規模な発電所やO&Mに関心の高いユーザーになると、緊急時に作業員が駆けつける体制を整える場合もあれば、不具合検出の精度を高めるためにストリング単位やモジュール単位で発電を監視する設備を導入することもある。
だがこれについて、ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥社長は、「日本の発電事業者はO&Mに必要以上にコストをかけ過ぎていたり、またその逆だったり、グローバル水準と比べるとコストにバラツキがある。発電所の規模や立地条件、使用設備などによって適正なO&Mというものがある」とし、「当社は、世界で活躍している独立系のO&M会社、グリーンテックさんとともにユーザーに合ったサービスを提供していく」と自信を見せた。
独グリーンテックは、大規模な太陽光発電所を中心にO&Mを手掛けており、GTMリサーチの調べでは世界11位、独立系では世界トップの実績を誇る。ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションは、そのグリーンテックのノウハウを生かして、今年8月から欧州版O&Mを日本で実施するのだ。
土肥社長は、「日本のO&Mは万が一の備えという点に偏っている。これに対し、我々は20年間の収益を高めていくという目標を掲げて有益なO&Mを創り上げるというスタンスだ」。
ドイツ政府はいま、FIT(固定価格買取り制度)を活用した売電から一般の電力取引市場への卸売りする商用売電を促している。これにより商用売電向けの新しいO&Mが求められるようになった。この変化をグリーンテックのインゴ・レーマン社長はこう語る。
「FITを活用した売電しか行われていなかった頃は、発電の継続が最優先事項だった。だが商用売電では、売電する時間によって単価が変わるので管理すべき事項が増え、より資産運用的な高度なO&Mが求められるようになった。それによって我々はノウハウを培ったのだが、それをヨーロッパ・ソーラー・イノベーションさんと日本の事業者のために提供できればと思っている」。
グリーンテックの高度なO&Mとは、遠隔監視システムなどの設備を用いたサービスに加え、技術コンサルティングや財務管理、資産管理など総合的な資産運用サービスである。どのような効果があるのか、気になるところだ。