[特別対談 第34回]
太陽光と新電力の親和性
みらい電力 中西芳比朗社長 ✕ ESI 土肥宏吉社長
土肥氏●新体制のもと、貴社はどのように展開されているのでしょうか。再エネ電力の販売に力を入れてこられたということですから、最近の傾向として、オンサイト型の太陽光発電設備によるPPA方式の電力販売には関心をお持ちだと思います。
中西氏●発電設備をリニューアブル・ジャパンが所有し、設備で発電した再エネ比率100%のRE100電力を当社がPPA方式で販売します。RE100電力を求める企業にはこのスキームで供給していきます。
その一方で、当社は従来から化石燃料由来の電力も調達しており、全取扱電力に占める再エネ比率は31.2%程です。いずれこれを100%まで高めていきますが、顧客のなかには、RE30から段階的にRE100へ高めていこうとお考えの企業も多いので、同時に現行の再エネ電力を販売していきます。
土肥氏●PPAモデルが盛んになるのは、太陽光関連企業にとっても望ましいことですが、太陽光パネルを設置できる屋根がないなど、一定の制約があるように思います。そのような課題に対して、他の提案方法やスキームなどがあれば、ご教示ください。
中西氏●自営線によるマイクログリッドです。大掛かりなものはできないので、小さなエリアで成功事例をつくります。自治体の遊休地に太陽光発電所を建設しつつ蓄電設備なども設置して、エリア内にRE100電力を供給します。太陽光発電所の建設は地域の販売・施工会社さんにお願いし、リニューアブル・ジャパンが資金を供給して発電所を開発・所有します。もちろん、これらの設備だけで自営線内の電力需要は賄えないので、電力系統とも連系し、電力が足りない時は外部から電力を調達します。その電力調達や自営線内の電力管理を当社が担うのです。
当社は今後民間企業向けの販売比率を高めつつ、3年後にはバランシンググループの組成会社となって、各市町村に地域新電力会社をつくり、そのバックアップ管理を担いたいのです。
土肥氏●まさに、再エネ電力の供給を軸にした地方再生のモデルですね。非常に意義深い構想です。コロナ禍を経て、今後は経済活動の分散化が進み、地方の電力需要が拡大して地方における分散型電源の開発ニーズが増える可能性も考えられます。
また、太陽光関連企業の自家消費提案も、今後は顧客に負担のないPPAモデルが広がるようにも思いますから、地域の販売・施工会社さんにとっても喜ばしいことです。実際、地方の太陽光関連企業は、PPAモデルのニーズがあることは分かっていても、電力の管理や資金調達の面で課題が多いのです。
一方、大手企業は資本力こそあっても、地方の細かい事情を把握して潜在ニーズを掘り起こしたり、設備の細かいO&Mを実施したりといったことは苦手でしょう。あるいは、新電力会社も太陽光発電設備の建設やO&Mは専門領域外だと思います。ですから、複数の企業同士がウィン・ウィンの協業体制を築くという貴社の構想には、とても将来性を感じます。