30年耐久モジュールはこうつくる
独ソーラーワールドの驚愕!耐久性試験 温度サイクル1万回 ダンプヒート1万時間
両面ガラス仕立てのドイツ製の太陽電池モジュールが話題を呼んでいる。メーカーは独ソーラーワールド。最大の魅力は業界初の30年保証だ。20年の売電を終えた後も10年の発電が保証される。電力小売り全面自由化を見据えれば投資メリットは非常に高い。ではこの30年耐久モジュール、どのようにつくられているのか。
ソーラーワールドの生産拠点は、ドイツ東端の都市ドレスデン近郊のフライベルクにある。東工場、ザクソニア工場、南工場という3つのサイトで、インゴットからウエハ、セル、モジュールまで一貫生産している。
年産能力は13年末時点で、ウエハ1.3GW、セル800MW、モジュール1.3GW。今年3月に独ボッシュから引き継いだ工場も合わせると、セル、モジュールはそれぞれ1.5GW規模になる。
同社製モジュールの特長は〝長期信頼性〟。25年あるいは30年という長期間使用しても、故障や発電の不具合が極めて少ないと評価が高い。
それを実現し得るための取り組みとして、まず着目すべきは、生産工程における厳格な品質管理体制だ。
装置は全自動だが、品質管理には人が介在し、徹底した目視検査を実施している。たとえばEL検査。通常は最終工程で1回実施するものだが、同社はダブルチェックが原則。電極設置工程では、どの部分にどれだけ接着剤が塗布されたのか、細かく撮影して管理する。不具合が起こりやすいジャンクションボックスには、カバーを被せる前にシリコンジェルを埋め込んで完全密封するという徹底ぶりだ。
もうひとつが、厳格な耐久性試験である。同社は180種類に及ぶ試験を実施しており、なかにはIEC(国際電気標準会議)規格の基準値を遥かに上回る過酷な条件で行なっている。
たとえば、85℃からマイナス40℃までの温度負荷を繰り返しかける温度サイクル試験。IECの基準の条件は、6時間以内に200回である。しかし同社は、市販するモジュールで600回。市販モジュールに使用する材料を使ったテスト用モジュールで9000〜1万回行なっているという。
85℃、湿度85%の環境に長時間置くダンプヒート試験は、IEC基準が1000時間であるのに対し、同社は市販モジュールで3000時間、テスト用モジュールでは最大1万時間である。
同社のモジュールを日本で販売しているのが、総代理店のヨーロッパ・ソーラー・イノベーション(=ESI、横浜市中区、土肥宏吉社長)。ESIの土肥氏は、「一時期、多くのメーカーの工場を視察させていただき、設計理念や管理体制、原材料の使用状況など細かく確認したことがあるが、ソーラーワールドのみがすべてに妥協のないメーカーでした。ソーラーワールド製モジュールこそ世界最高の製品です」と絶賛する。
30年保証モジュールの商品名は、『サンモジュールプロテクト』。ESIは、250W多結晶シリコン型と、275W単結晶シリコン型を販売している。このほか、通常タイプは、250W多結晶シリコン型と、275Wと280Wの単結晶シリコン型、さらに意匠性の高いブラックタイプの単結晶シリコン型なども扱い、品揃えは豊富だ。