「〝ワンストップソリューション〟で180日ルールも対応可能」

EPCベンチャー、ジャパンパワーサプライの競争力

太陽光発電のEPC(設計・調達・建設)ベンチャー、ジャパンパワーサプライ(本社・東京都港区六本木、資本金・1億6100万円、釜谷正宏社長)が存在感を高めている。いま業界を騒がせている経産省の設備認定のルール厳格化にも対応可能のようだ。同社の強さを探った。

同社が手掛けた発電所。(左)成井発電所 (右)鷹彦発電所

同社は2012年12月、太陽光発電のEPC企業として旗揚げした。太陽光発電所のディベロップメント体制により建設を自社グループで手掛け、設立初年度から順調に受注を獲得。実質8ヵ月の営業期間だった13年11月期の初年度では、計6MW分の太陽光発電所を着工、12億円の売上を計上した。

今期も受注は好調で、特別高圧線への接続が伴う大規模発電所の建設にも乗り出す。今期は完工ベースで10MW以上建設し、売上高は30億円を超える計画だ。同社の強みは、太陽光発電所のディベロップメント企業として開発を自前で仕上げる「ワンストップソリューション」。それはまずコスト競争力を生んだ。

一般に大手EPCは、土地の造成や電気工事、施工などを下請け業者から孫請けに発注するため、多層のマージンが発生するケースが多く、総工費は割高になる。同社はできる限りグループ内で手掛け、コスト管理を徹底しているため、マージンが少なく、コストを抑えられる。

さらにこの「ワンストップソリューション」による対応力は、思わぬ形で差別化に繋がりそうだ。

経産省が今年4月に実施した設備認定ルールの厳格化である。認定を受けてから180日以内に土地と設備を確保しなければ認定を取り消すという要件が盛り込まれたことで、メガソーラーの建設から手を引こうとするEPC業者が出てきたのだ。経産省は、意図的に発電所を建設しない一部の悪徳業者を排除する狙いだったが、業界の反応は、「土地の許認可手続きにかかる時間的制約を考慮すれば、このルール改定によってメガソーラーは開発が下火になる」(業界関係者)と不満の声が続出。諦めムードすら漂っている。

しかしジャパンパワーサプライは、認定ルール改定の影響はさほどないとし、その根拠をこう説明した。

「電力会社への申請と設備認定を取得して売電権を押さえ、土地の開発許可が下りてから土地の契約を結ぶという手順では、当然間に合わなくなるでしょう」としたうえで、「当社は、電力会社への事前検討を終えた後、土地の契約を結ぶ。それから土地の許認可手続きを進めながら設備認定を取得します。180日の失効ルールは問題ありません」。

土地の開発許可が下りないうちに土地の契約を結ぶのは、いささかリスクが大きいとも受け取れるが。

「当社は土地を取得する前に、独自のデューディリジェンスを行なっています。この段階でほぼ100%案件化できるかどうか判断できるのです。不確定な要素は系統連系ですが、それも事前検討の段階で把握できます」。

同社のEPCサービスは「ワンストップソリューション」。それゆえに、土地に関しても豊富な知見があるのだろう。設備認定ルールの厳格化によってメガソーラー開発から手を引くEPC業者が増えてくれば、同社の競争力がさらに増す。ジャパンパワーサプライはさらなる飛躍を遂げそうだ。

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