ソーラーワールド製 30年保証パネル ESI、単結晶275W新発売

独ソーラーワールドが製品化した両面ガラス仕立ての太陽光パネル、『サンモジュール・プロジェクト』が人気を博している。初年度の出力劣化率が3%で、経年劣化率は実に0.35%と小さい。ユーザーには30年間の出力保証が付与される常識外の製品だ。日本総代理店のヨーロッパ・ソーラー・イノベーション(=ESI、横浜市中区、土肥宏吉社長)は、多結晶シリコン型250Wタイプを昨秋から販売しており、今年3月には単結晶シリコン型275Wを発売した。

(左)ESI土肥社長 (右)ソーラーワールド製の30年保証パネル

「まさか、これだけ反響があるとは想定外でした」。ESI社長の土肥氏は殺到する『サンモジュール・プロジェクト』の注文に追われながらこう語った。

国内の太陽光発電市場では、品質のトラブルも増えている。融資する銀行側からも厳しく判断されるため、発電事業者やEPC(設計・調達・建設)企業の間ではモジュールの〝長期信頼性〟という価値が浸透しつつあるようだ。

「太陽光発電に精通したEPC業者さんからの注文が圧倒的に多い。『サンモジュール・プロジェクト』は、バックシートをガラスに代えたことで耐久性を格段に高めた画期的な製品ですが、その価値をお伝えするには時間がかかると思っていました。しかし、日本には意識が高い方が意外と多いということが分かった。国民性なのかもしれませんね」。

この新製品で一躍脚光を浴びたソーラーワールドであるが、ドイツではすでにトップメーカーとして不動の地位を築いている。欧州でも「耐久性に優れ、最も信頼のおけるモジュール」として認知され、それは徐々に世界へ知れ渡り始めているようだ。

 

返品率0.003%

ソーラーワールドは現在、垂直統合生産モデルを構築しており、年産能力はウエハ1.3GW、セル800MW、モジュール1.3GWに達している。ただし、規模を拡大していくことよりも、品質や信頼性に力点を置く方針を貫き、ゆえに特長は徹底した品質管理体制といえる。

独自の加速劣化試験は、IEC国際規格で定められている基準値をはるかに超え、IEC規格にはない独自の試験も複数行なっているという。これについて土肥氏はこう力説した。

「私は、多くのメーカーへ足を運び、設計理念や品質管理、原材料の使用状況などを細かく確認しましたが、どれを取ってもソーラーワールドが世界最高でした。ソーラーワールドは25年の出力保証を世界で初めて実施したのですが、その背景には確固とした技術の裏付けがあった。今回の30年も同じです」。

「たとえばモジュールの返品率を比較すれば違いを分かっていただける。ある統計機関はモジュールの初期不良率を11年が7.8%、12年が13.09%、13年が11.8%だったと公表しました。これに対し、ソーラーワールドは10万枚販売して不良品は3枚程度。返品率は0.003%です」。

ESIでは、今回の新型モジュールのほかに、多結晶型250Wと単結晶型275W、さらに意匠性の高いブラックタイプの単結晶型270Wを扱っている。今夏には、単結晶型280Wとブラックタイプ単結晶型275Wを売り出す予定だ。

ESIは、モジュールの売れ行きが好調で、14年6月期のモジュール販売量は25MW以上、来期は50MWを突破する見通しだ。

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