独ソーラーワールドが創り上げた〝長期信頼性〟モジュールの魅力

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション(=ESI、横浜市中区、土肥宏吉社長)が販売している独ソーラーワールド製の太陽電池モジュールが、ここ日本で認知度を高めている。国産モジュールの需給がひっ迫するなか、中国製品に疑念を抱く発電事業者に対し、同モジュールの〝長期信頼性〟が訴求力を生んでいるようだ。ソーラーワールドとはどのようなメーカーなのか。そして同社の〝長期信頼性〟モジュールとは。

ソーラーワールド製の〝長期信頼〟モジュール

ソーラーワールドの設立は1998年。商社としてスタートしたが、数年後に独・フライベルグにモジュール工場を建設してメーカーへ転身する。以後急成長を遂げるのであるが、その背景には、欧米の太陽電池メーカーとの度重なる買収劇があった。つまりソーラーワールドの母体は太陽電池メーカーの連合体なのだ。

そのなかに、1977年創業の老舗太陽電池メーカー、米・アルコソーラーが存在した。同社は世界で初めて原料からモジュールまで一貫生産したメーカーで、長期耐久性に関する膨大な実証データを保有し、技術、ノウハウも蓄積していた。

ソーラーワールドが早くからモジュールの〝長期信頼性〟に着目し、そこに開発予算を投じてきたのは、恐らくアルコソーラーの開発理念がベースにあるのではなかろうか。

ソーラーワールドは垂直統合生産モデルを推し進め、いまや年産能力は、ウエハ1.3GW、セル800MW、モジュール1.3GWに達しているが、それでも品質、耐久性、信頼性に重きを置き、片時も技術開発の手を緩めたことはなかった。

独自の加速劣化試験は、IEC国際規格で定められている基準値をはるかに超える。技術の裏付けをもとに25年の出力保証を打ち出したのも、同社が世界で初めてだった。

それが功を奏し、欧州では、「耐久性に優れ、最も信頼のおけるモジュール」として認知されていく。そしてドイツの住宅用市場で販売シェアトップにつくと、世界へと販路を拡げた。

中国製の安価なモジュールがドイツに大量流入した時期も、同社が根強い人気を維持できたのは、〝長期信頼性〟モジュールをつくり続けてきたからであろう。

そのソーラーワールドが、いま日本で衆目を集めている。きっかけは、新型の両面ガラスモジュール、『サンモジュールプロテクト』の発表だった。同社は、この新型モジュールを購入したユーザーに、30年の出力保証を付与すると宣言したのだ。しかも、初年度の出力劣化率を3%とし、経年劣化率は実に0.35%と公表。発電事業者には、21年後も製品出荷時の90%の出力が保証されるのである。

モジュールの長期信頼性を数値化し、その価値を客観的に比較することは難しいとされてきたが、同社はそれを目に見える形で価値づけしたといえる。