システムコスト低減に寄与する〝名脇役〟
カワムラ新型20A接続箱の魅力
日本版FIT(再生可能エネルギーの全量買取り制度)開始から1年半。今年4月からいよいよ太陽光発電のプレミア最終年度を迎える。2015年度からの買取り価格の減額を見据えれば、太陽光プレイヤーの今年最大の課題は〝コストダウン〟といえるだろう。
そんななか、太陽光発電用の接続箱やキュービクルを手掛ける河村電器産業が、いち早くコスト低減に取り組む姿勢を具現化した。今年2月に20A接続箱を発売、システム全体でのコストダウンを目指すという。関心集めるカワムラの新製品、その魅力に迫る。
同社は1996年、オン・オフの切り替えが回路単位でできる直流開閉器を開発し、それを搭載した住宅用太陽光発電向けの接続箱を発売した。以後、太陽光分野への本格進出を果たすと、2010年には産業用接続箱や集電箱を商用化。FITの開始に合わせ、準標準的な設計を施した専用キュービクルも市場投入し、着実に実績を伸ばしている。
なかでも接続箱の設置実績は国内トップレベル。同社は一般住宅をはじめ集合住宅、学校、工場、そしてメガソーラーまで販路を拡げ、同製品の累計設置台数は20万台を優に超えている。
そんな同社が今年2月、産業用接続箱を約4年ぶりにフルモデルチェンジ、新製品を発売する。最大の特長は、内蔵する直流開閉器の容量を従来比2倍に高め、業界最大となる20Aに引き上げたこと。では、直流開閉器の容量倍増で何が変わるのか。新規事業部ソリューショングループの伴覚守グループ長はこう話す。
「新製品は、従来の10A機に比べて倍のパネル容量を接続できるので、回路数は半分で済む。つまり接続箱や集電箱の数を削減できる。これは設備費から施工費までシステム全体のコストダウンに繋がります」。
例えば200kWシステム(100kWパワーコンディショナ2台設置)の場合、10A機であれば接続箱8台と直流集電箱2台必要だ。だが20A機を採用すれば接続箱は半分の4台、しかも直流集電箱は不要になる。
接続する太陽光パネルが薄膜系であれば、そのまま並列接続数を増やすことでメリットを享受できる。結晶系の場合は並列接続すると電流が結線部で逆流する恐れがあるが、同社はケーブルメーカーの東日京三電線と共同で逆流防止ダイオード内蔵の集電ケーブルを開発。
「20A接続箱単体の価格は10A機の価格と同じ。薄膜系はもちろん、集電ケーブルが必要な結晶系パネルであっても、回路数の削減などによるシステム全体のコスト低減効果は非常に高く、充分メリットがあります」(伴グループ長)。
さらに新型接続箱は、直流開閉器と逆流防止ダイオードを一体化。4回路単位でユニット化したことで盤内のケーブル数を極限まで減らし、安全性や耐久性を向上させた。従来オプションだった外アンカー固定金具も標準搭載し、ユニット配置も施工性を考慮した。