日本エネルギー総合システム 蓄電池併設太陽光の事業性を検証

蓄電設備併設太陽光発電所の開発に動く日本エネルギー総合システム。このほど需給調整市場での取引を見据えて事業性を検証した。

太陽光発電所のEPC(設計・調達・建設)を手掛ける日本エネルギー総合システム(香川県高松市、黒淵誠二社長)は2024年6月6日、経済産業省から受託した『令和5年度再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業』の成果を報告した。同社はコンソーシアムリーダーを務め、グループ会社のRE100電力が再生可能エネルギーアグリゲータとして参画。蓄電設備併設型の太陽光発電所の事業性を検証した。

検証にあたって、同社は四国電力管内で稼働済みの蓄電設備併設太陽光発電所を用いた。蓄電容量663kWhの蓄電設備を併設した交流出力249.9kWの太陽光発電所3ヵ所と、442kWhの蓄電設備を併設した125kWの太陽光発電所2ヵ所で、いずれも太陽光パネルと蓄電池を直流回線で繋いだDCリンクの発電所である。

そのうえで同社はFIP(フィード・イン・プレミアム制度)活用を想定して蓄電設備を用いた出力調整を行いながら事業性を検証した。具体的には、出力249.9kWの発電所を運用し、電力をJEPX(日本卸電力取引所)に卸す場合、蓄電設備の利用によって過積載率や蓄電池容量にもよるがFIP収入が約1.2〜1.5倍に増えることを確認。バランシングコストの低減に加え、売電時間の調整によってJEPXへの売電収入増が見込めた。さらに、調整市場を加えた場合の検証を行ったところ、蓄電設備の活用によって収入が増えることが分かった。

一方、同社は、蓄電容量150kWhの蓄電設備を併設した交流出力49.5kWの低圧太陽光発電所を稼働させ、FIPを利用する場合の収益性を試算した。すると、JEPXのみに販売する場合と比べ、需給調整市場を販売先に加えると、日によっては収入が2倍以上になることを確認した。

黒淵誠二社長は「まずは、高圧の蓄電設備併設太陽光発電所で需給調整市場取引を始めます。26年度から低圧のFIP太陽光発電所を束ねて需給調整市場で取引できるようになるため、そこに向けて準備を進めていきます」と語る。

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