中部自動車販売の発電事業にかける思い
3年で60MW開発 協力業者求む
メガソーラーの開発ラッシュが過熱するなか、発電事業への新規参入が後を絶たない。だが実際に20年に亘る発電事業を実施する業者はどれだけ存在するのだろうか。発電所の転売による短期の利ざや稼ぎを目論むものが少なくないからだ。そんななか、中古車販売を手掛ける中部自動車販売(東京都東大和市)が確固とした理念を抱いて発電事業を推進している。同社の取り組みに迫った。
中部自動車販売は、すでに全国10ヵ所で出力計15.4MWに及ぶ太陽光発電所を開発、年度内にはさらに5ヵ所で計12MW分の発電所を完成させる。すべて20年に及ぶ発電事業を自ら実施する意向を示しているが、ではなぜ中古車販売から太陽光発電に参入したのか。創業者で経営トップの横手弘之社長はこう語った。
「創業から今年で46年目。数十万台のガソリン車を販売してきました。社業の発展に邁進してきましたが、同時にCO2の排出量を増やすことに加担したといえます。したがって当社にはCO2削減に取り組む義務がある。太陽光発電は社会的責任を果たす意味においても、推進すべき事業と位置づけています」。
きっかけは東日本大震災。福島県内に3店舗を構えていた同社は、社員こそ無事だったが社員の家族が犠牲になった。それでも被災地で仕事に励む社員の姿に横手社長は心打たれたという。
「すぐに義援金を贈りましたが、やはり安全なエネルギー社会を創造することが重要です。政府は再エネを普及させて大規模集中型から小規模分散型へエネルギー供給のあり方を変革しようという目的で全量買取り制度を実施した。ならば当社はこれに賛同し、多くの発電所を開発していこうと考えました」(横手社長)。