既築から新築まで 独自サービスで業容拡大
エステート24ホールディングスの飽くなき大望
功を奏したブランド化戦略
顧客の購入メリットに着眼し、独自のサービスを編み出して他社との差別化を図る。同社の成長の原動力であるが、それは既築住宅事業にも遺憾なく発揮された。
最たるものが、大手損害保険会社と提携して商品化した『ワールドソーラーワランティ(WSW)』。製品の瑕疵担保責任としてメーカーが提供する『25年のモジュール出力保証』と『10年の太陽光発電システム保証』に、自然災害補償と工事保証を加えた独自の総合保証サービスだ。
具体的には、自然災害による損壊に対して10年間補償するほか、太陽光発電システムの施工による屋根瓦の破損や雨漏りによる家財の損傷、モジュールの落下などによる人や建造物などへの損害を15年間保証するというもの。補償額は1世帯あたり最大5億円である。
WSWの実施に至った経緯を、秋田氏はこう語る。
「以前当社が販売していたシステムがネット上でさらに安く売られており、当社にクレームが入ったことがあった。単にメーカーから仕入れた商品を販売するというだけでは限界があると思い、独自のサービスを付与した自社ブランド品を開発したのです」。
「では具体的にどのようなサービスがよいか。お客様と接していますと、工事による様々なトラブルに不安を持たれていらっしゃる方が多かった。太陽光の利点は理解されているのですが、起こり得るトラブルをどう保証してくれるのかと。そこでこの総合保証サービスを考えたのです」。
補償は大手損害保険会社が担うが、客先でのトラブルには24時間体制で同社が対応する。「24時間、家のことは面倒をみさせていただく」(秋田氏)。社名〝エステート24ホールディングス〟にもその思いを滲ませた。
「リレーション市場は計り知れません。他社にない付加価値サービスを提供し、お客様に商品をお売りすることができれば、そのお客様が他の関連商材をお求めの際は、また当社を選んでいただける可能性が高い。今後は、蓄電池やHEMS(ホームエネルギーマネージメントシステム)、さらに電気自動車なども視野に、新商品を販売していければと思っています」。
つまり、独自のサービスで顧客を囲い込み、顧客と良好な関係を築いて、長期間取引を継続しようというリレーションシップマーケティングである。これこそが同社のビジネスモデルであり、成長・拡大の方程式なのだ。
同社は、09年1月に設立された。当初は電気調理器や電気給湯器などのオール電化商品を販売していたが、3・11を機に太陽光発電システムに大きく舵を切る。以後、韓・ハンファや中・トリナソーラー、加・カナディアンソーラーなどの海外製モジュールと、国内製パワーコンディショナを組み込んだシステムを仕入れ、訪販を中心に業績を伸ばす。11年12月期の売上高は対前期比4.8倍の73億円、12年はこれを146億円へと倍増させ、今期は300億円超えを目指している。
その同社がいま力を入れているのが太陽光発電システムの全国フランチャイズ展開だ。
「当社と理念を共有していただけるパートナーを探しています。当社からは商材と販売ノウハウを提供させていただきます。ともに成長できればと考えています」。
さらに、公共・産業用へビジネス領域を拡げる目的で、新会社『グローバルエナジーホールディングス』を立ち上げた。主に工場や商業施設の屋根などへ、太陽光発電システムの設置を提案していく。
総勢600人を乗せた船艇はまだ出航したばかりである。舵を切るのは齢26の秋田氏、可能性は未知数だ。飽くなき大望はどこに向かうか、目が離せなくなってきた。