新鋭EPC、Looopの〝サービス力〟

産業用太陽光発電のEPC(設計・調達・建設)で急成長を遂げるループ(東京都文京区、中村創一郎社長)。太陽電池モジュールと関連機器一式の『MY発電所キット』を拡販し、2013年3月期の販売実績は300発電所、出力換算で26MWに達した。その同社の強みが徹底した顧客サービス。発電所の設計や部材供給に止まらず、資金調達や土地探しまで顧客目線で対応する。これが功を奏し、顧客の紹介を通じて受注が増えている。ループの〝サービス力〟とは。

右から、Looopの松本一彌営業部長、エバーサイレンスの深井武さん、重田商事の菅原清さん、Looopの清水貴司技術担当。

浅間山の裾野に位置し、キャベツの栽培が盛んな群馬県吾妻郡嬬恋村。温泉や別荘、スキー場も多く、人気の観光地だ。この地でいま、太陽光発電のコミュニティが形成されつつある。

「冬は積雪に見舞われるが、日射量は意外とよい。発電に適している」。

そう語るのは、地元で産業廃棄物処理業を営む重田商事の菅原清さん。嬬恋村大笹に2万1千坪の土地を借りて出力998kWの太陽光発電所を建設、2月13日より売電を始めた。

菅原さんは11年から太陽光発電所の運営を計画。友人の紹介でループに問い合わせた。対応が早く、中村社長と松本一彌営業部長が来訪。こうして12年3月、両者は出会った。

「最初は不安もあったが、中村社長と松本部長が丁寧に説明してくれたので安心した。多くの営業マンとお会いしたが、ループさんが最も信頼できた。初期投資を抑えられる点も決め手のひとつ。でも最後は担当者の人柄です」。菅原さんは当時を振り返る。

以後、両者は二人三脚で計画を具現化していく。チャレンジ精神が旺盛な菅原さんは大きな構想を描いていたが、内心不安もあった。その心情を汲み取り、松本部長はこう提案する。

「大規模なものをおやりになる前に、まず小規模発電所で様子を見られてから、ご決断されてはいかがですか」。

これには菅原さんも納得。そこで、長野県北佐久市御代田町の菅原さんの所有地に出力48kWの発電所をつくり、その後メガソーラーへとステップを踏むことにした。

菅原さんは資金調達の準備を始める。12年5月には日本政策投資銀行から2億5千万円、地元金融機関から5千万円の融資の確約を得た。メガソーラーへの投資を目論んでのことだ。

ループは電力会社への系統連系手続きの準備を進める。急ピッチで設計を手掛け、申請書類を作成。そして6月30日。全量売電の開始を待たずに、中部電力佐久営業所と東京電力渋川支社へそれぞれ事前申請を行なった。中電佐久営業所では1番目、東電渋川支社では2番目だった。

「電力会社との連系協議や設備認定など前例がなかったので、ご苦労されたと思う。ループさんにすべてお願いしたので、私はスムーズに進んだという印象しかないのですが」。

そう語る菅原さんも、施工にはこだわった。『MY発電所キット』を購入し、ループの施工指導のもと48kWの小型発電所を自ら建設。8月末には低圧線への連系を完了させた。

「稼動状況を確認すると、予想以上に発電している。これならいけると、メガソーラーに踏み切りました」。

満を持してメガソーラー建設を開始したのが11月。土地を造成し、12月から架台やモジュールを据え付けた。菅原さんと重田商事の社員、そして取引業者の応援もあり、多いときで総勢15名の人員で作業した。

電気工事は12月10日から地元の電気工事会社、三原産業が担当した。「3年前から太陽光の工事を請け負ってきたが、メガソーラーは初めてだった。よい経験になりました」と同社社長の黒岩愼一さん。ループからも技術支援として、第三種電気主任技術者の資格を持つ清水貴司技術担当が対応した。途中大雪のため計画より工事が1ヵ月延びたが、それでも土地の造成も含めて3ヵ月半という異例の短工期で2月13日に完成させた。

(左)鎌原向原太陽光発電所 (右)菅原さんのメガソーラー