有力システムインテグレータ、Looopの〝コスト低減力〟とは!?
産業用太陽光発電のシステムインテグレータであるループ(東京都文京区、中村創一郎社長)が、太陽光発電所の設置実績を伸ばしている。太陽電池モジュールからパワーコンディショナや架台、接続箱、ケーブルまで、太陽光発電所の建設に必要なすべての機器・部材をパッケージ化した太陽光発電システムの『MY発電キット』を供給。この独自の販売形態で建設費の低減を実現し、システムインテグレータとして存在感を高めている。
同社は2011年4月に設立後、同年10月に山梨県北杜市で出力16.6kWの太陽光発電所を開設した。これを皮切りに自社発電所を建設しながら、システムインテグレーションのノウハウを蓄積。創業わずか2年目にして、国内の中堅システムインテグレータへと成長を遂げた。こうした経緯について、中村創一郎社長は事業の方針をこう語る。
「当社は、太陽光発電所の建設だけでなく、保守メンテナンスから補償サービスまで、すべての業務を総合提案させていただいています。こうしたサービスの品質向上に加え、やはりお客様の投資効率の最大化を目指し、建設費の低減に力を入れています」。
その言葉どおり、同社のシステムインテグレーションはコストパフォーマンスが高い。中小規模の太陽光発電所の建設費は現在、kWあたり32〜40万円が相場だが、同社のシステムを購入してユーザー自身が施工すれば、同28万円と割安になる。
それだけに、今年7月、FIT(全量買取式の固定価格買取り制度)がスタートし、太陽光発電所への投資利回りを求めるユーザーが増えると、同社の受注も急増した。出力数十kWから数百kWまでの中小規模の太陽光発電所を中心に、1MWを超えるメガソーラーの建設まで手がけ、今年度は全国60ヵ所、発電規模に換算して計5MW以上の太陽光発電所を設置する予定である。
それでも、コスト低減への創意工夫に余念がない。功を奏した『MY発電キット』という販売形態に甘んじることなく、自社製架台の開発に傾注。その一方で、系統連系におけるノウハウの習得にも力を入れ、昇圧器などを必要としない割安な低圧線接続を提案している。
自社の太陽光発電所、『松の木ソーラー発電所』では、それを体現して見せた。同発電所のトータル出力は228kWで、通常は高圧線接続となるが、出力48kWの発電所を4ヵ所と同36kWを1ヵ所という設計を施し、低圧線接続の発電所とした。
中村社長は、「このような設計は、系統電力の状態などによって難しい場合もあるが、顧客の投資メリットを高めるために、あらゆる工夫を凝らしています。品質とコスト競争力の双方を追及し、お客様に選ばれるシステムインテグレータになることを目指しています」と抱負を語る。