[特別対談 第33回]

セカンダリー市場の可能性

再エネ鑑定センター 小野賢次社長×ESI 土肥宏吉社長

プロフィール●小野賢次(おの・けんじ)1971年北海道生まれ。明治学院大学社会学部卒業。コンサル会社や金融機関を経て、サクセスキーグループで太陽光事業に従事。2016年ウェブサイト、太陽光買取鑑定センターを開設。19年10月に再エネ鑑定センターを設立し、代表取締役に就任。三共建設事業開発部長、グルーヴファクター社長などを兼務。

土肥氏●これまでのセカンダリー取引は、主に特別高圧太陽光発電所などの大型案件が中心で、大手の第三者機関が時間とコストをかけて大掛かりな鑑定を行うケースが主流だったように思います。それがいまは2MW未満の高圧太陽光発電所の領域まで取引が広がってきているようなので、市場の成長性を感じますが、実際に引き合いに変化はありますか。

小野氏●マンパワーの制約もあって、現在は月10件ペースで鑑定していますが、今後は増えていくようにも思います。というのも、これまでは買い手からの依頼が多かったのですが、最近は売り手からの依頼も増えてきました。

様々な方々の要望に応えるため、当社では、現地の簡易な調査に基づく1次鑑定と、関係書類の確認と現地調査からなる2次鑑定、さらに詳細な現地調査のもと膨大な報告書を作成する3次鑑定まで用意しています。とはいえ、最も多いのは2次鑑定の依頼です。依頼内容にもよりますが、一般的な内容であれば、1MWあたり50万円程度でお受けし、特別な調査項目がなければ、3週間くらいで報告書を提出させていただきます。

土肥氏●改めて思うのですが、太陽光発電所の資産価値を示すというのは非常に難しいことではないでしょうか。たとえば、20年先の太陽光発電所の撤去費用をどう見積もるか、未来のことだけに、示しようがないように思います。

小野氏●おっしゃる通りです。それゆえ我々も前提としてフェアバリュー(公正価値)はお出しできないのです。ただ、買い手は安く買おうとし、売り手は高く売ろうとするため、双方が望む取引価格に乖離が生じます。その乖離の金額を当社がエンジニアリングの技術を用いて客観的に指摘させていただくのです。

土肥氏●なるほど、非常に興味深いですね。ところで、鑑定後に発覚した問題をクライアントから改善してほしいといった依頼があった場合、貴社で改修工事なども手掛けられるのでしょうか。

小野氏●はい。鑑定した結果、問題点をお伝えし、改善策まで提示するので、お客様によっては、問題を解決してほしいと言われる方もいらっしゃいます。その場合、当グループにはEPC部門がありますので、そこで改修工事を請け負います。

土肥氏●セカンダリー市場が広がると、太陽光発電所の鑑定ニーズも増え、太陽光発電所の価値を高めようという機運が盛り上がるはずです。その結果、発電事業者のO&Mへの意識が高まり、これまで指摘されてきた施工や管理の様々な問題が改善されれば、これは非常に意義深いことです。貴社の今後の活躍を期待しています。

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