[特別対談 第32回]
住宅用エネルギー設備の本質
サンテックスマートエコリビング 山川敦司社長×ESI 土肥宏吉社長
ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥社長による特別対談。お相手は、太陽光パネル中国大手の日本法人であるサンテックパワージャパンの子会社、サンテックスマートエコリビングの山川社長だ。住宅用エネルギー設備の本質に迫った。
プロフィール●土肥宏吉(どひ・こうきち)1973年東京都生まれ。97年一橋大学商学部卒業後、遠心分離機大手の巴工業に入社し海外営業に従事。2011年ドイツで太陽光関連企業を設立。12年に太陽光専門商社ESIを設立し、代表取締役に就任。
土肥氏●FITが始まる以前は、経済性というよりも、ライフスタイルの一環で住宅用太陽光発電設備を購入する方々がおられて、販売会社さんはオール電化機器なども販売し、住宅用エネルギー市場は堅調に推移していたように思います。当時から10年近く経ち、設備の価格は大幅に下がったので、市場は活況に満ちていてもよいはずですが、実際はそうなっていません。むしろ閉塞感さえ漂っていて、販売会社さんは苦しまれているように思うのですが、どう見ていらっしゃいますか。
山川氏●私は太陽光発電の販売会社に15年程在籍していましたが、当時から家庭における電力消費のライフサイクルをお示しして、設備を提案していました。ローンで設備を購入されると、最初の10〜15年は月々の家計の負担が多少増えますが、完済後は太陽光電力の自家消費による電気代の削減によって家計の負担が減ります。つまり、生涯にわたって電気代を払い続けるよりも、お客様にとってメリットがあるという提案です。この提案内容は本質的に現在も変わりません。太陽光発電設備と蓄電設備のセット提案でもライフサイクルを示して販売していますから。ただ、販売促進費も15年前と変わらないので、設備の販売価格が下がった分、薄利になり、厳しくなってきたというわけです。
土肥氏●こうした状況の下、貴社は、外資の太陽光パネルメーカーでは早くから日本の住宅用太陽光分野へ参入されたサンテックパワージャパンさんの子会社として今年1月に設立されました。どのような事業を展開されているのでしょうか。
山川氏●サンテックパワージャパンから仕入れた太陽光パネルと、周辺機器をシステム化して卸すというのが柱にあって、蓄電設備も扱っていますが、いかに付加価値を提示できるかが重要なので、付帯サービスも提供しています。とくにエンドユーザーの暮らしを支え、メンテンナンスの一括窓口になる『エコリビングサポート』というサービスには力を入れています。エンドユーザーの購買意欲を刺激するサービスを提供できるよう、日々挑戦しています。メーカーでありながら、商社という立ち位置で、エンドユーザーと販売会社さんの双方の利益に寄与していきたいと思っています。