Products Review

フジクラ

2.5mm厚の極薄色素増感太陽電池を開発

左上から半時計回りに裏面、表面(受光面)、昇圧とリチウムイオンキャパシタを組み合わせた電源モジ ュール※大きさは500円玉との比較

電線大手のフジクラ(東京都江東区、伊藤雅彦社長)が厚さ2.5mmの色素増感太陽電池を開発した。既売品の素子構造を簡素化することで厚さを約半分にしたうえ、発電有効面積を従来品の約1.2倍に広げ、小型化を実現した。

同製品は、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)センサ端末や電子錠などの機器組み込み製品である。「市場では小型・薄型化のニーズが高まっており、新製品の開発に至った」と先端技術総合研究所センサ・システム研究部の秋田秀俊部長は開発経緯を語る。

同社は3年前からエネルギーハーベスティング用として色素増感太陽電池を供給している。エネルギーハーベスティングとは、室内灯などの微小エネルギーを電力変換する技術。同社の製品は、照度10lux~10000luxの間で効率よく発電できるように作られている。10luxは、例えるなら夜中の非常階段で足元が見えにくい明るさ。10000luxでも朝夕の日射ほどだ。

ただ、発電量がマイクロワット単位であるため、電子回路を上手く組まなければせっかく発電した電気を自己消費して終わってしまう。そこで、同社は昇圧・蓄電機能を付加した電源モジュールも開発した。

2035年には1兆個を超える端末がインターネットにつながるともいわれている。秋田部長は、「今はまだ市場は小さいが、わずかな光で発電できる我々の製品は、電池交換が大変な場所や、大量導入されるIoT向けセンサでの需要が増える」と想定している。

新製品は単セルモジュール品のみだが、今後は4直列モジュールや8直列モジュールでの製品化を予定している。

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