Company & Key person

「両面発電で高品質路線へ 川下領域で業容拡大」

インリー・グリーンエナジージャパン 山本譲司 社長

経営再建中の太陽光パネルメーカー、中インリー・グリーンエナジーが、日本市場で攻勢に転じている。日本法人インリー・グリーンエナジージャパンを率いる山本譲司社長の狙いとは。

債務超過で経営難に陥り、いまだ再建中のインリー。だが、日本では根強いファンを獲得したようで、太陽光パネルの日本向け出荷量は、2016年が590MW、今期はすでに500MWを超える見通しがついているという。

出荷が堅調な理由を、山本譲司社長は、「当グループはこれまで世界へ17GWパネルを出荷しており、品質に重きを置いてきた。25年間の出力保証も技術の裏づけがあって担保しており、品質面の利点が認知されるようになってきた。日本メーカー製品と遜色ないと評価を受ける」と語る。

同社の日本での製品群は、汎用型の多結晶パネルと単結晶パネルに、高効率N型単結晶パネル『パンダ』だったが、さらにパンダの両面発電タイプをリリース。今年6月に初納入した。

この新製品は、自信作のようで、山本社長は、「反射光を裏面で吸収して発電するので、最低でも発電量は10%向上する。60セルで340Wという高出力品は、他社にない武器だ」と強調、さらに「多結晶の泥仕合を続けていては、先は明るくない」とも語り、高効率路線を強める方針を示唆した。

事実、同社は昨年まで3MW以上の特別高圧発電所向けの出荷が全体の40%を占めたが、今年は17%に減少。その代りに高圧・低圧の領域で販路を開拓し、出荷を伸ばしている。

「全国の販売・施工会社さんとは、パネルの売買にとどまらず、様々な形で良好な関係を築かせてもらっている」と山本社長。その一貫で、省エネコンサルティング会社とも強固な関係を構築し、自家消費型設備の提案も始めているという。

そう、同社の新戦略とは、FIT終了後を見据えた川下領域への展開だ。太陽光パネルの販売にとどまらず、システム販売や太陽光発電所の開発にも乗り出し、需要を掘り起こしていく狙いである。

昨年12月にはシステム開発部を設置し、第1号案件となる2MWの太陽光発電所を和歌山県で開発、18年以降は発電事業にも力を入れる構えだ。その一方で、低圧発電所と6戸の太陽光搭載住宅を自営線でつなぎ、蓄電池やEMS(エネルギー管理システム)も組み合わせたオフグリッドシステムの実証試験を始める。山本社長は、「FITで太陽光発電のコストが飛躍的に下がったおかげで、今年から自家消費案件が増えてきた。金融商品的な意味合いが薄れたこれからが太陽光を本格的に普及させる時期。川下へ展開し、需要の創出に力を注ぐ」と意欲的だ。

両面発電パネルを設置した50MWの発電所

Company & Key person を読む

一覧を見る