新栄電子計測器、オムロン
O&M用検査装置発売 4機能を1台に集約
新栄電子計測器(神奈川県藤沢市、成勢幸一郎社長)とオムロン(京都市下京区、山田義仁社長)は、太陽光発電の保守・点検用の直流安全検査装置を新たに開発した。4機能を1台に集約した機器であり、現場での工数削減を実現する。独占販売権を持つオムロンが12月より販売開始する予定だ。
両社が共同開発した直流安全検査装置『DC Fault Tester』(DCFT)は、開放電圧、地絡抵抗、回路断線抵抗、バイパスダイオード断線の測定を現場で行えるもの。通常、これらの測定を実施するためには複数種の検査装置が必要となるが、今回の新製品を使えば、1台で網羅できる。
また、従来であれば、接続箱の回路ごとに測定し、故障の有無を判断してから、ストリング内のパネルを個別に確認し、故障位置を特定していた。だが、この新製品を使えば、接続箱の回路ごとに測定するだけで、故障の有無の判別と位置特定を同時に行えるのだ。
新栄電子計測器の成勢幸一郎社長は、「この『DCFT』で故障位置を特定した後は、従来と同じくI-Vカーブトレーサで該当パネルを評価すればいい。測定した数値の分析や判断も自動で行うので、誰でも簡単に使えるうえ、従来型と比べて検査工数は約半分で済む」という。
これら特徴を実現したのが、オムロンの独自技術であるAISET(Active Inspection SEnsing Technology)だ。太陽光発電などの直流電流における故障位置特定技術であり、「断線や地絡など、故障特徴に合わせた信号を出し、返ってきたものを判断する。センシング技術なので、非常にローコストかつコンパクトな検査装置を実現できる」(オムロン環境事業本部グローバルマーケティング部市場戦略課の大橋勝己経営基幹職)。
複数の検査装置で4つの機能を担う場合、合計した装置代は100万円を超えるのが一般的だが、「我々の『DCFT』であれば、1台で済むうえ、価格も100万円以下。発電のパフォーマンス維持と火災リスクを軽減できる検査装置として活用してほしい」(オムロンの大橋経営基幹職)。
なお新栄電子計測器は製品の設計・製造、オムロンはAISET技術の提供及び販売を担当する。
主な仕様は以下の通り。
寸法:170mm(W)×260mm(H)×70mm(D)(突起部除く)、質量:約2.5kg、電源:単二形アルカリ乾電池4本、稼働時間:約5時間、内部メモリ:1000データ、通信方式:USB2.0。