Products Review

ダイヘン

FEMS用パッケージシステム受注開始

本社内に設置された『DISOLA POWER STORAGE PARK』

ダイヘン(大阪市、田尻哲也社長)は3月より、FEMS(工場用エネルギー管理システム)用パッケージシステムの受注を開始した。太陽光発電と蓄電池を使った自家消費型システムであり、世界で初めて自律分散協調アルゴリズムを搭載。中央監視制御装置を導入せずにエネルギー管理・制御を実現できる点が特徴だ。

同社が新発売したFEMS用パッケージシステムは、高圧連系盤、昇圧変圧器、太陽光発電用PCS(パワーコンディショナ)、蓄電池用PCS、リチウムイオン蓄電池で構成される。昇圧変圧器は太陽光専用の『ソーラートランス』、太陽光用PCSは『エアコン・レス』タイプを採用しており、システム全体での最大変換効率は97%以上を実現している。工場などに導入することで、太陽光と蓄電池を用いて電力のピークカットや負荷平準化を行い、電力料金の低減を可能としたシステムだ。

最大の特徴は、制御方法に自律分散協調アルゴリズムを採用したこと。「従来型では、ハイスペックな中央監視制御装置がそれぞれの機器に指令していた。一方、我々が開発した自律分散協調アルゴリズムは、それぞれの機器が自律的に情報交換し、協調して最適制御を行う」(技術開発本部パワーグリッド開発部の北野豊和副参事)。実際に制御を行うPCSは、ソフトウェアの追加で対応できるうえ、中央監視制御装置も要らない。

また、機器や設備の増減についても、複雑な設定変更なしで柔軟に対応可能。北野副参事は、「1ヵ所だけでなく、異なる地域にある設備と広域での協調制御もできる拡張性のある技術。例えば、工業団地や企業グループ、配電線レベルの管理などがイメージしやすいのではないか」と話す。

同社は本社十三テクニカルセンターに実機を設置し、今年2月末より実証を進めている。「来年度には別の拠点にも設置し、広域での協調制御の姿をお見せできれば」(北野副参事)。

基本パッケージは、太陽光と蓄電池用PCSの容量がそれぞれ250kW、リチウムイオン蓄電池の容量が200kWh。PCS容量や蓄電池の種類など、仕様変更にも柔軟に対応していくという。

産業電機事業部の上田太朗受変電システム部長は、「自律分散協調型という新しい考え方をFEMSに適用し、よりお客様が導入しやすいシステムとして提供していきたい」と語った。

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