新興マタイ
太陽光売上130億円、産業用伸長が寄与
今期は新築強化&商材開拓
鈴与グループの太陽光商社、新興マタイ(長野県佐久市、谷津和孝社長)は、2014年1月期の太陽光関連事業の売上高が前年比約37%増の約130億円となり、同事業で初めて100億円の大台を突破した。太陽光のプレミア期間の終了が迫るなか、今期からFIT(固定価格買取り制度)後に向けた新たな取組みを加速させる。
同社は1994年に住宅用太陽光発電システムの販売事業へ参入。以来、国内メーカー製を中心に卸販売を手掛けてきた。2011年に鈴与グループの一員となってからも、住宅用を中心に実績を積み重ね、今年4月には累計実績が2万5000件を超えた模様だ。
同社は、太陽光関連事業を中心に展開する環境エネルギー事業部における14年1月期の売上高が約130億円と同比約37%増の成長を遂げた。容量ベースでは、同約65%増の51MWである。
環境エネルギー事業部の加藤三喜夫取締役事業部長は、「産業用が躍進した1年」と振り返る。
これまで住宅分野を得意としてきた同社だが、FIT開始による産業用マーケット拡大に伴い、14年1月期は非住宅分野が中心となった1年だったという。
「分譲型を含め、1MW強のメガソーラーが4件あったほか、出力50kW未満の小規模産業用が伸長した。およそ3分の2が非住宅分野だった」。
今期販売容量2割アップへ
好調だった1年を終え、同社では2月から新たな期に入った。4月1日からは住宅用37円、産業用32円という新たな買取り価格の適用も始まった。
「2月は雪の影響もあり、少し落ち込んだが、3月は過去最高の数字を記録した。ただし、2月からずれ込んだ案件や、4〜5月の需要の先食いも一定量あった」。
「今年は、買取り価格がもう一段減額され、厳しい1年になると思う。だが、プレミア最終年であり、駆け込み需要も期待している。容量ベースでは2割アップ程度を目指す。高圧産業用ではグループ案件も残っており、小規模含めた産業用では、受注残を合わせて約30MWが見えている。ただ、単価も下がっていくはずなので、売上高は微増の135億円を想定している」。
一方、住宅分野については、既築住宅向けだけでなく、新築市場への展開を強めていく方針である。
「今年だけでなく、2〜3年後を見据えたうえで新築マーケットをさらに開拓していきたい。対象エリアも拡大していくつもりだ」。
その同社の太陽光関連事業における強みは、販社に対する〝支援体制〟だ。
「工程・品質・安全の3つの管理を支援する工務、業界トップクラスのレスポンスを目指し、12メーカーのなかから最適な提案を行う業務、そして設計支援。特に02年頃から提供している設計支援は、当社最大の特長でもあり、評価もいただいてきた。今期も人員増強を図りつつ、支援体制強化に力を注いでいく」。
同社は、今1月期から新たにFIT後へ向けた取組みにも着手している。新規商材の開拓と新規事業の立ち上げを目指し、事業部内に専任者を配置した。
「3年後、5年後を見据えた、いわばR&Dの専任者。HEMSや蓄電池はいまの営業で扱っていくレベルだが、そのさらに先の環境商材を模索してもらう」。
太陽光発電システムの設置実績が2万5000件を超えるなかで、取引実績のある販社数は500社に迫る。また、親会社の鈴与商事は新電力事業者として、電力事業を開始している。
「新規商材の開拓は商社である我々の使命。その商材が順調に成長すれば、事業として成り立つというイメージですね。理想を言えば、既存の販売・仕入ルートを活用できる商材でしょう。設置実績や既存ルートを活用しない手はないと思いますから」。