エスペック
PID評価システム発売
環境試験装置メーカーのエスペック(大阪市北区、石田雅昭社長)は、今年10月よりPID(Potential Induced Degradation、電位によって誘発された劣化)評価システムの発売を開始した。
同システムは、電源や計測を担う電圧印加絶縁抵抗計測システム部とチャンバー(恒温恒湿槽)を一体化したもの。太陽電池モジュールに、高温高湿の環境下で高電圧を印加、PIDの初期に起こると言われている漏れ電流を測定する評価システムである。なお、PID現象の判断については、このシステムで試験後、ソーラーシミュレータやELテスターで電気特性などを測定していくことが必要。
これまでのPID試験では一般的に、通常の環境試験器に、高電圧を供給する電源、電流を測定する電流計などを独自に組み合わせ、システム化し、実施しているケースが多いとされる。
開発本部技術管理部ソリューション開発グループの棚橋紀悟参事は、「PID試験では、高温高湿下で1000Vクラスの高電圧を印加するので、安全性が重要になってくる。そして、PIDかどうかを判断するためにも、フレームとセルの間の漏れ電流を高精度で測定する必要がある」と語る。
そこでシステム化にあたり、チャンバー内部でモジュールと周囲を絶縁しているほか、内槽部及び内槽導電部を接地するなど、安全性を向上。また、計測システム部についても独自設計を施した。棚橋参事は、「PIDの漏れ電流はμAやnAといった微量なレベル。これを高精度に測定できるようにした」と話し、同システムでは、漏れ電流測定精度±0.1pA〜±1mAを実現している。
チャンバーの大きさについては、モジュールサイズに合わせて、選定が可能。最大サイズのチャンバーでは10枚同時に測定できる。
棚橋参事は、「このシステムはセットアップの必要もなく、簡単にPID評価が行える。また、途中経過もわかるので、複数のモジュールの比較も行える。第三者機関さんのほか、モジュールや関連部材といったメーカーさんにも研究開発で活用してもらいたい」と話す。
主な仕様は、<恒温高湿槽>温湿度制御範囲−40℃〜100℃/40%〜95%rh、温湿度分布±1.5℃/±5%rh、内法W1200×H1650×D2000mm、外法W1720×H2370×D3300mm(ただし突起部は除く)(モジュールサイズや枚数によりサイズ変更可能)。<計測システム部>印加電圧範囲±10V〜±1500V(極性は中継ボックス部にて差替変更)、リーク電流測定範囲±0.1pA〜±1mA(表示は正極性の絶対値表示)、高速リーク検出機能・範囲±4μA〜100μA、検出速度約20msec、チャンネル数20ch、外法W530×H1750×D1040mm(中継ボックス部除く)。