東芝
新築住宅向け、太陽光発電システム発売
太陽光発電システムの製販で実績を伸ばしている東芝(佐々木則夫社長)は今年6月末、新型の住宅用太陽光発電システムを発売した。最大出力200Wで変換効率15.4%の単結晶シリコン型モジュールを搭載しており、主に新築住宅向けに拡販していく。7月末にも出荷を開始し、初年度は30MW規模の販売を目指す。
今回の新製品は、従来の高効率システムに比べて、発電性能は劣るものの、コストパフォーマンスを高めた。特長は、反射による光の損失を最小限に抑えるため、ガラス表面の屈折率を下げる独自の反射低減コートを採用したこと。また、表面のみならずバックシートも黒色のデザインを施し、スレート屋根、瓦屋根問わず、屋根に馴染むように意匠性を高めている。
太陽光発電システム推進部住宅用太陽光発電システム部の江尻稔部長は、「モジュールの製造委託先はアジア圏の企業。当社の基準で設計しており、性能、品質においては自信がある。その他の機器については、旧来製品との部品の共有化を図り、コスト低減を実現させた」と自信を見せる。さらに、「建材商社やハウスメーカー、ビルダーなどを通じて新築住宅向けに中心に提案していく」と販売戦略を語った。
同社はこれまで、OEM(他社ブランドでの生産)先の米サンパワーが製造する高効率モジュールを搭載した高効率システムを販売してきた。同モジュールは、n型単結晶シリコンウエハと、電極を裏面に配置して受光面を拡げたバックコンタクト技術で世界最高の発電能力を達成。変換効率は19.6%である。東芝は、このモジュールとパワーコンディショナなどの周辺機器を組み合わせて独自にシステムを構築。最適化を図って、世界最高の発電性能を誇る高性能システムを製品化してきた。
他の製品よりも割高になるが、世界最高の発電性能という品質重視の販売戦略が功を奏し、11年度は売れ行きが好調だった。同システムの販売量は前年比3倍増の2万件強に達し、発電容量にして80MWを超えた模様である。
今回の製品は、従来の高効率システムよりも性能面においても、価格面においてもワンランク下として売り出す。これによって、同社は従来製品とは異なった顧客層を獲得していく狙いである。
今回発売された単結晶シリコン型モジュールの製品名は「LPM-200S-BLK-J」。主な仕様は、最大モジュール変換効率15.4%、最大出力200W、最大出力動作電圧25.5V、最大出力動作電流8.20V、開放電圧、30.4V、短絡電流8.78A、最大システム電圧600V、外形寸法W1318mm×H983mm×D46mm、重量15.7kg。メーカー希望小売価格は13万2300円。