安川電機
住宅用パワコン4.5kW、5.8kWタイプ今春販売へ
産業用パワーコンディショナの製造で実績のある安川電機(北九州市八幡西区、津田純嗣社長)は、2012年4月21日から住宅用パワコン2機種の販売を開始する。住宅用PV(太陽光発電)システムメーカーなどを主なターゲットに拡販し、12年度は2万台の販売を目指す。
製品タイプは200V単相4.5kWと同5.8kW。それぞれ屋内設置用で変換効率は96%以上。住宅1棟当たりに設置されるモジュールの発電容量が増加しているため、少し大きめの変換容量にしたという。入力電圧範囲はDC60~400V、自立運転機能を搭載し、騒音レベルは30db以下。PVシステムを多数設置した際の他社製パワコンとの互換性を高める機能を搭載した認証である多数台連系対応型JET認証を取得中だ。12年度内には屋外設置仕様の製品も市場に投入する計画である。
インバータ事業部環境エネルギー機器事業統括部の山田達哉事業統括部長は、「当社は産業用インバータで40年の歴史があり、価格競争力に直結する部品調達力を有している。信頼性を持ったパワー変換技術にはどこにも負けない自信がある」と強みを語る。
同社は10年9月にPV向けパワコン市場に参入。この2年足らずで三相10kWタイプ、単相10kWタイプ、三相100kW400Vタイプと矢継ぎ早にラインナップを拡充し、現在は静音型の単相10kWタイプも取り揃える。静音型は、騒音レベルを35dbから30db以下に改善、主に集合住宅向けに提案している。100kWでは200Vタイプも開発中だ。
11年度は売上ベースで前年度比300%増と、国内の産業用市場が停滞していたのにもかかわらず、大幅伸長した。2年間で10kWタイプの累計販売実績は2000台以上に達している。10kWタイプは200Vで10kWの自立運転機能を搭載しているほか、入力電圧がDC100~600Vと広範囲にわたる。
一方、今年期待される産業用市場には、大規模発電所向けに10kW製品を提案している。1MWならば100台といった形だ。「もしトラブルがあった場合、250、500kWといった大型タイプだと1台の影響が大きいが、この方法なら1台10kWで済む。パワコンをパネルと架台の間におけば、設置しておくためのプレハブ小屋も不要になるなど、価格においてもトータルで勝負できる」という。
また今後、産業用市場の成長、住宅用への進出に伴い、生産能力増強を必要とされる可能性があるが、それについては、「当社のインバータ生産体制は年間200万台。パワコンでも必要ならば迅速に増産体制を整えられる」と話す。
同社は中国での販売も検討しており、その際には現地生産も視野に入れている。12年度については「今年度の伸び率以上を目指している。まずは日本で基盤を固めていく」としている。