キーワードから学ぶ再エネビジネスの基礎

第13回

バランシンググループ

非FITの発電事業や電力小売りにおけるインバランスリスク低減の対処法としてバランシンググループへの参加がある。仕組みを解説する。

BG(バランシンググループ)とは、代表者契約制度のこと。本来、発電者は発電量調整供給契約を、電力小売り会社は接続供給契約を、各々送配電会社と結ばなければならないが、複数の発電者や電力小売り会社がBGを形成すれば、そのうちの1社が代表して契約を結べばよい。個別に行っていた〝計画値同時同量〟もBG単位で達成すればよくなる。発電者の集まりが発電BG、電力小売り会社の集まりが需要BGで、BGの代表企業をBG親、BGの参加企業をBG子と呼ぶ。

日々の運用では、BG親がBG全体の発電計画や需要計画を立てて電力広域的運営推進機関へ提出し、計画値と実績値に差分が生じた場合に発生するインバランス料金も、BG親にまとめて請求される。

BG親がBGを形成するのは、複数の発電所や電力消費者を集めることで、発電量や電力消費量を平準化し易くなり、かつBG内の調整でインバランスリスクも低減できるためだ。たとえば、発電BGでは、太陽光発電と風力発電、バイオマス発電に蓄電設備まで組み込むことができよう。需要BGでは、工場や飲食店、ホテル、倉庫、住宅まで、各電力小売り会社の顧客を組み合わせることができる。一方、BG子がBGに参加するのは、発電者が行うべき発電計画の作成をBG親に任せられるためだ。電力小売り会社であれば、電力の需給管理や需要計画作成をBG親に委託でき、BG親から電力を供給してもらえる。

BG親がBG子に請求する需給管理費は、固定価格だったり従量料金だったり、BG親によって異なる。インバランス料も、BG全体で負担する場合もあれば、BG親がまとめて負担することもある。ただしBG親が倒産した場合、BG親の未払いインバランス料はBG子が負担することになる。

今後、非FITの再生可能エネルギー発電事業を手掛ける発電者のほとんどが、発電BGへ参加することになるだろう。FIT事業では特例制度で計画値同時同量を免除されていたが、非FITではその特例制度が適用されない。とくに太陽光発電や風力発電といった変動電源は制御が難しく、他の電源と組み合わせるのが定石だ。

一方、電力小売り会社は需要BGへの参加が一般的だが、良いBGに加入しなければ生き残れない。というのも、2021年1月にJEPX(日本卸電力取引所)のスポット価格が異常高騰した際に、JEPX調達の比率が大きかったBGほど被害が大きかったからだ。ある電力支援企業の社長は、「BG親の中にはJEPXからほぼすべて調達している会社もある。ここ数年JEPX価格が安かったから機能していたに過ぎず、今後もうまく続くとは限らない」と指摘する。

とはいえ、相対契約による電力調達はJEPX調達よりも割高な場合がほとんど。相対比率を高めればよいわけでもない。JEPX価格やインバランス料を予測し、より電力調達のリスクを低減できるBG親と組むのが望ましいだろう。

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