リコー
有機薄膜太陽電池の試作品開発 IoT機器向けに提供開始
リコー(山下良則社長)は2021年9月より、IoT(モノのインターネット)機器用の有機薄膜太陽電池を試験的に提供する。22年度中の商品化を目指し、フレキシブル太陽電池の製品群に追加した。
試作品は41㎜×47㎜とフィルム状のもの。同社は当面、IoT機器メーカーや商社などに無償で提供する。採用した有機薄膜太陽電池は、九州大学と13年より共同開発している発電材料で、九州大学が開発した高性能の有機半導体設計、合成技術とリコーの有機感光体の材料技術を組み合わせたもの。同社によれば、光電変換層の分子構造や材料組成などを精密に制御することで約200~1万ルクスの屋内から屋外の日陰などでの高効率な発電を可能にしたという。
配線やメンテナンスが不要で、小型、軽量のため移動型、携帯型のウェアラブル端末や、トンネル内などに設置するインフラの監視用機器の自立電源としての活用が期待できる。同社は、屋外や宇宙向けのペロブスカイト太陽電池の開発にも取り組んでおり、次世代太陽電池の開発を進める方針だ。