O&M市場の理想と現実

機器大手が語るO&M事業観

太陽光発電設備の機器メーカーは、O&M市場をどう捉えているのか。機器大手2社が語った。

「検査機器販売から検査サービスへ展開 今期初の黒字化見通し」

エヌ・ピー・シー 伊藤雅文社長

 

メンテナンス事業は、4年前に自社の屋外EL検査装置と、他メーカーのI-Vトレーサに日射計や解析ソフトなどを組み合わせた独自のI-V計測システムを売り出したのが始まり。

EL検査装置は、日中にパネルを取り外すことなく検査できる国内唯一の製品だが、2000万円強と高額で、販売数は数十台にとどまっている。I-V計測システムは、使用するI-Vトレーサによって価格に差があるが、平均すれば1セット150万円程で約150セット販売した。昨年からは、オムロンが販売する絶縁抵抗診断やバイパスダイオード検査などができる複合検査機に独自の集計ソフトを組み込んだシステムを売り出し、数十台販売した。

ただ、検査機器の販売は、メンテナンス会社が限られており、ある程度行き渡ったので、いま力を入れているのは太陽光パネルの検査サービスだ。竣工前検査がほとんどで、3月までに790MW検査した。単発が多かったが、最近は20年の検査契約も増えてきた。

我々の強みは、検査結果を評価できること。竣工前検査の結果を基に次の検査時期を提案したり、定期検査の結果を基に発電状況の傾向を分析したりすることができる。今後は様々な発電所から発電データを集め、発電量や日射量などと比較し、本来の発電量が出ているのか、あるいは、故障箇所の洗い出しを行う分析サービスの提供も検討している。

機器販売と検査サービス、そして太陽光パネルのリユース・リサイクル事業からなる環境関連事業の2017年8月期の売上高は2.4億円で赤字だったが、今期は売上高2.8億円を見込み、初めて黒字化できる方向だ。要因は、検査サービスの割合が5割から7割以上に増え、効率化が図れたこと。とくに検査時にI-V検査と合わせてバーコードの読み取りも行うなどサービスを複合化したり、『ソーラーウェルネス』という全国ネットワークを活かして各地域で協力企業を増やしたりしたことが功を奏したと思う。

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