「我々は間違いなく黒字化を果たす」
カナディアン・ソーラー ショーン・クゥCEO
12年というのは非常にタフな年でした。ただ厳しい環境のなかでも、我々はシェアを拡大することができ、11年1.3GWだったモジュール出荷量は1.5GWを超えました。
13年のマーケット状況も、恐らく緩やかな成長が期待できるでしょう。ただし、各エリアの状況は様変わりし、この10年間、最大の市場規模を誇った欧州が減速、代わってアジア地域が世界トップに躍り出る。いわゆる市場ファンダメンタルズが変化する年になる。
13年はまさに転換の年で、我々にとって今期は黒字転換を間違いなく達成する反転攻勢の時期に入ったと考えています。恐らく我々以外にも、数社は黒字を達成できるでしょうが、多くの企業が依然として赤字を流し続けるのではないか。
一方、昨年を振り返ればオーバーキャパシティ、これがすべてです。我々もコスト低減を戦略的に図ってきたのですが、市場価格の下落がどうしても先に起き、対応が後手に回る。この繰り返しになってしまった。
結果として、その差分がロスになったわけです。だが今年はある程度、価格は維持されるでしょう。なぜなら小規模メーカーは生産を止めざるを得ず、実効性のある生産設備が減る。従ってオーバーキャパは解消へと進むはずです。
では、モジュール値上げの実現性はどうなのか。この問いに答えることは非常に難しい。ただ実際のマーケットに目を転じれば、ポリシリコンの価格が上昇に転じた。さらにアジアパフシフィック地域、とくに日本や中国の需要拡大によって、価格上昇への圧力も現れてきています。
また円安も我々海外勢にとって影響を与えており、何社かのユーザーと値上げ交渉を始めたのも事実ですが、値上げについて予想することは難しい。
やはり黒字転換も含め、我々は3つの戦略をやり遂げるしかない。我々はいずれにせよ、モジュール価格を低減させなければならない。
モジュールの組み立てから物流まで、製造に関わる局面、局面ひとつずつの積み重ね、そして生産規模の拡大よる低減もある。たとえば我々はこの1年、バスバー製造でJVを組み、生産規模を高めてきましたが、今後、EVAやJ-BOXなどでも検討してきたい。
あるいは製造ラインの自動化、これも検討のひとつです。1パーソン・1MW、一人の人員で1MWをつくりきる。これが我々のターゲットです。実現できれば日本での生産も夢ではないでしょうね。
次いで、新たに競争力ある商品を投入していく。すべてのパネルで変換効率の上昇を図り、W単価の低減を狙うわけです。そのなかで最も注力するのが『ブラックエックス』、バックコンタクトモジュールです。付加価値が高い分、販売価格や収益性の維持が可能となる。
そして最後のプランがビジネスモデルの変革です。今年はプロジェクトを含めたシステムビジネスが、モジュール販売額を上回ると想定しています。売上比率でいえばシステム事業が60%に達するのでは。
システムビジネスと我々が呼ぶ事業には3つあり、そのひとつが純粋なEPC。またプロジェクトデベロップメント、ファイナンス、EPCの総合体もありますし、コンプリートシステムキットと名付けた日本の住宅システムのような10年保証を付けたパッケージ商品の展開もある。
とくに利潤はこのシステムビジネスから出てくるため、3つのプランを融合させることによって、黒字転換を図っていきたい。
確かにモジュール価格が反転する場面があるのかも知れませんが、システムコストを下げ、グリッドパリティに到達させる。これが企業継続の鍵ではないでしょうか。
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