変革期のオンサイト太陽光

東京ガスエンジ、国内最大級の蓄電池PPA開始

東京ガスエンジニアリングソリューションズ(=TGES)が、ホンダ熊本製作所で蓄電設備を活用した国内最大級のオンサイトPPA(電力売買契約)を始めた。ホンダ細江船外機工場でも蓄電池PPAを開始しており、同様のスキームで提案を拡げていく方針だ。

TGESは2024年6月、熊本県大津町内のホンダ熊本製作所に蓄電容量2万kWhのGSユアサ製蓄電設備を導入。屋根上の出力5MWの太陽光発電設備や2.1MWの太陽光パネル搭載カーポートと連携させて運用を開始した。25年4月には2.2MWの太陽光カーポートが稼働する予定で、熊本製作所の太陽光発電設備は9.3MWに達する。

TGESは、静岡県浜松市内のホンダ細江船外機工場でも蓄電池PPAを始めた。このほど蓄電容量2000kWhのGSユアサ製蓄電設備を導入し、900kWの屋根上の太陽光発電設備や900kWの太陽光カーポートと繋いで稼働させた。

両工場では、平日の昼間に太陽光発電設備から工場に電力を供給し、休日などの昼間には蓄電設備へ充電する。発電量が工場の電力需要を下回る日没後などは蓄電設備から工場へ電力を供給し、再生可能エネルギー電力を無駄なく活用する。

TGES産業エネルギー営業本部産業エネルギーソリューション部の澁谷弘毅部長代理は「細江船外機工場では、蓄電設備を活用することによってオンサイトの再エネ設備の電力で工場の電力需要の50%を賄うことができる。これは非常に大きなことだ」と語る。

ともあれ、蓄電設備の導入費は高い。設備投資をPPAで回収するにはPPAの単価を上げなければならない。ただホンダにとっては従来の電力代と比べてPPAで調達する再エネの電力代が高くなれば、製品の原価に影響しかねない。双方に利益のあるPPAとはどのようなものだったのか。

むろん、詳細については知る由もないが、ホンダの熊本製作所が二輪車のマザー工場で欧州にも製品を輸出している関係上、ホンダは脱炭素化を前提に電力を調達しなければならない。長期的に見れば、電力代や環境価値が上昇するのは確実だから、この時期に長期のPPAを活用しておこうと判断したのだろう。

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