50年脱炭素化へ
建物設置の可能性
太陽光発電のさらなる普及拡大を目指すうえで、屋根上を中心とした建物は有望な設置場所である。ポテンシャルに疑いはなさそうだ。
2030年に二酸化炭素など温室効果ガス排出量を13年度比46%削減し、50年にカーボンニュートラル(人為的な温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現を目指す方針を明らかにした政府。その実現には徹底的な省エネルギー化とともに、再生可能エネルギーの導入拡大が欠かせない。30年まですでに10年を切っており、導入速度の速い太陽光発電にかかる期待も大きい。
環境省の調査によれば、太陽光発電の導入ポテンシャルは2746GWに達し、150㎡以上の屋根や設置しやすい場所に限っても699GWに及ぶと推計している。なかでも、荒廃農地などとともに有力な設置場所候補となるのが、主に屋根上に設置できる建物である。
注目度も高く、第6次エネルギー基本計画の議論が佳境を迎えようとしているなか、環境省は21年7月6日に開かれた経済産業省の審議会にて、国や地方公共団体が保有する公共建築物のうち、設置可能な屋根の約半分に太陽光発電の導入を目指す方針を明らかにした。量にして6GWである。国土交通省管轄の検討会でも、新築の公共建築物において太陽光発電設備の設置を標準化していく方向で議論が進んでいる。早稲田大学理工学術院創造理工学部建築学科の田辺新一教授は、「公共で導入が進めば、施工技術が進歩し、施工業者は成長する。民間における再エネの普及にも繋がるだろう」と波及効果にも期待する。
さらに環境省は公共建築物のほか、民間企業や住宅の自家消費用太陽光発電設備の導入も推進しており、同じ審議会で民間企業における自家消費用太陽光発電設備は30年度までに少なくとも10GWの導入が見込めるとした。
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