経産省、保安規制改定へ 電気主任技術者ルール緩和
経産省は太陽光発電設備の保安規制を改める。6月にも特別高圧太陽光発電所を監督する電気主任技術者の配置ルールを緩和する予定だ。(本誌・中馬成美)
電気主任技術者の資格には、第1種、第2種、第3種と種類が複数あり、各々監督可能な電気工作物の範囲が異なる。特別高圧の5万V以上で電力系統に連系する太陽光発電設備の場合は、第2種以上の電気主任技術者の選任が必要で、原則1発電所に第2種電気主任技術者の有資格者を1人配置させなければならない。
ただ第2種電気主任技術者の有資格者は限られており、人材の確保が難しい。そこで同一の発電事業者が近隣に複数の発電所を保有している場合、第2種電気主任技術者が2時間以内に到着できる範囲においては合計電圧17万V未満を上限に1人で最大6つまで発電所を監督できるというルールが設けられていた。それでも大規模な太陽光発電所は山間部や僻地にあることが多い。2時間以内の到着要件を満たすのが困難で、実態に即した制度の見直しが求められていた。
そこで新制度では、統括する第2種電気主任技術者の指揮監督下にあれば、第3種電気主任技術者や電気工事士、認定校卒業者など、一定の技能を有する者による監督も認めることとしたのである。ただし、いずれも常時勤務する事務所から2時間以内に到着可能な発電所でなければならない。
これについて、保安規制に詳しい京都大学大学院の安田陽特任教授は、「制度改革は良い方向に進んでいるが、問題の本質は電気主任技術者の成り手が少ないこと。人材不足を解消するには、明確な目標で国内の再生可能エネルギー産業を活性化し、技術者の給与水準を上げるなど、抜本的な制度改革が必要だ」と語る。
一方、太陽光発電所のO&M(管理・保守)を手掛ける野原ホールディングス経営企画部再生エネルギープロジェクトの増田幹弘室長は、「土木関係の復旧など、電気主任技術者の技能によっては対応できない場合もある。現場の状況に合った技術者が対応する方が効率的であり、今回の改正によって、そうした点も改善されればと思う」と期待する。