開発相次ぐ系統用蓄電所
系統用蓄電所の開発が加速している。国の手厚い補助を活用できるため、ここに来て事業化への動きが活発になってきた。(本誌・楓崇志)
系統用蓄電所の運営とは、電力系統に大型蓄電設備を単独で接続し、蓄電池の充放電によって収益化を図る事業である。蓄電池が生み出す調整力の価値を市場で取引する仕組みゆえ、事業者が増えれば、系統安定化や変動性再生可能エネルギーの導入拡大が期待できる。2022年5月の電気事業法改正で系統用蓄電事業が発電事業に位置づけられるなど、事業環境が整備され、建設計画が立ち上がった。
関西電力子会社の関電エネルギーソリューションは22年10月5日、宮城県仙台市に同社初となる系統用蓄電所を設置すると発表した。同社が出資する石炭火力発電所の敷地内に、定格出力約10MW、蓄電容量4万kWhの系統用蓄電所を建設する。米・テスラ製のリチウムイオン蓄電設備を採用し、きんでんにEPC(設計・調達・建設)業務を委託する。22年度内に蓄電設備を設置し、連系工事などを経て、24年度に運営を開始する予定だ。
同社電力本部の谷口雅章電力調達部長は、「発電所構内の未利用地を活用することで、土地造成費や系統連系に係る費用を削減できる。既設の発電所には技術員が常駐しており、運用・保守体制を構築しやすい。蓄電事業に適した環境が揃っていた」と話す。