V2Hの選択肢拡大へ
パナ、オムロンが23年発売の新製品を披露
パナソニックとオムロンがこのほど、2023年度に発売するV2H設備を相次いで発表し、V2H市場に参入する。ニチコンの独壇場だったV2H市場が変化しそうだ。(本誌・楓崇志)
パナソニックエレクトリックワークス社は2022年12月2日、定置用蓄電設備とV2H(車から住宅への電力供給)設備を連携させた『V2H蓄電システム』を発売すると発表した。同社初となるV2H設備だが、搭載するPCS(パワーコンディショナ)が1台で太陽光発電と蓄電池、V2Hに対応しており、単体販売だけでなく、蓄電設備とのセットでも売り出す。太陽光用PCSとしても提供する方針で、将来的な蓄電池やV2Hスタンドの増設にも対応する。
同社はEV(電気自動車)の普及や住宅における太陽光発電設備の搭載率上昇、電気料金の高騰などの影響で太陽光発電を最大限に活用し、購入電力量を削減するニーズが拡大すると睨む。そこで、充放電の幅を広げ、自家消費率を高められる蓄電設備にV2Hを組み合わせた。
特徴は、V2Hスタンドと接続したEVと蓄電設備からの同時充放電を可能にしたこと。余剰電力の売電量と購入電力量を減らし、自家消費率を向上させることができるという。
また、23年からはHEMS(家庭内エネルギー管理システム)をV2H蓄電システムに対応させる予定だ。最適な充放電制御によって自家消費率の向上が期待できるほか、気象警報と連動し、停電に備えた事前の自動充電や停電時の必要機器への優先供給の指示なども行える。
蓄電設備はリチウムイオン蓄電池を搭載した蓄電容量3.5kWh、6.3kWh、6.7kWhの3機種を用意。V2HスタンドとPCS、蓄電池用コンバータを合わせた設備一式の希望小売価格は、それぞれ税込み427.9万円、517万円、522.5万円。23年2月21日から受注を開始し、3月から出荷を始める予定だ。