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九州豪雨で太陽光発電所が損壊

保険やO&Mは必須

左:なだれ込んできた土砂で太陽光パネルが破損した 右:天井付近に設置されていた花田さん宅のPCSは水没を免れた

「今回のような災害にいつ見舞われるか分からない。発電事業者は保険には必ず加入しておくべきだ」。

ヤマトソーラーの出口雅大営業本部長はそう強調する。さらに発電事業者はO&M企業と契約し、災害が発生した際は即座に現地へ駆けつけてもらう体制を整えておく必要もあるだろう。

確かに、今回のような大規模水害においては、太陽光発電設備や蓄電設備は非常用電源として機能しない側面もある。しかしだからといって、太陽光発電設備が災害対策として無意味であるはずはない。

コロナ禍における災害では避難所へ行くのを躊躇う人が少なくない。坂本町で暮らす先の女性も「コロナに感染するかもしれないので避難所に行くのは怖い」と率直な思いを口にする。ヤマトソーラーの出口営業本部長は、「車中泊をしたり、自宅待機したり、避難所を避ける人が多い」と話す。

太陽光発電設備があれば、少なからずこうした不安を軽減できるはずだ。出口営業本部長は、「災害時の電気は非常に重要。非常用電源は、自分で自分の身を守るということに繋がる」と強調する。災害は豪雨だけではなく、台風による大規模な停電も起こり得る。コロナ禍においては、自宅で電力を生み出せる分散型電源が有効だろう。

一方で、水害で家が全壊すると、避難所生活を余儀なくされるが、全壊は一部で床上浸水がほとんどだ。この場合、掃除をしてまた家に住む人もいる。事実、人吉市に住む花田淳さん(69)は自宅が床上浸水の被害に遭ったが、「私はここに住むしかない」と打ち明け、「自宅の太陽光発電は無事だったので、これからも活用していく」と前を向く。

花田さんは、水害に備え、PCSを高い場所に設置していたのである。蓄電設備こそ浸水したものの、1階の天井付近に設置していたPCSは難を逃れた。

ともあれ、近年頻発する異常気象は、人為的な温室効果ガスの排出に起因する気候変動なのだろうか。

鹿児島県鹿屋市に住む78歳の男性は、「付近を流れる肝属川が氾濫し、身の危険を感じた」と話しつつ、「いままで生きてきて、こんな大規模な水害はなかった。最近の雨や風の勢いは異常だ」と強調した。人吉市の花田さんは、「温暖化について真剣に考えないといけない。人間の責任だ」とも訴える。

仮にもそうだとするのならば、再生可能エネルギーの重要性は日に日に高まっている。

左から、本田國廣さん、堀内電気の堀内重夫社長、ヤマトソーラーの出口雅大営業本部長、花田淳さん

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